かねてから話のあった勤務間インターバル導入に関する助成金の詳細が発表されましたので、今日はその解説。
この助成金、正式には職場意識改善助成金の中の「勤務間インターバル導入コース」として開始されます。
申請は今国会の予算がスムーズに通れば、平成29年4月3日以後から。それまでに予算が通らない場合は予算の成立日以後となります。
この記事の目次
支給対象となる事業主の条件
まずは、インターバル制度うんぬんの前に、対象となる事業主の条件について。
インターバル助成金の助成対象となるのは中小規模の事業主のみで、以下の規模よりも大きい会社は対象となりません。
業種 | 常用従業員数 | 資本金・出資金 |
小売業 | 50人以下 または | 5千万円以下 |
サービス業 | 100人以下 または | 5千万円以下 |
卸売業 | 100人以下 または | 1億円以下 |
その他一般 | 300人以下 または | 3億円以下 |
また、労災保険に未加入の会社も対象外です。
インターバル助成金の「勤務間インターバル制」の定義
ここからはインターバル制度の話になっていきますが、インターバル助成金上のインターバル制度とは以下のように定義されます。
本助成金においては、勤務間インターバルとは、休息時間数を問わず、就業規則等において終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているものを指す(平成元年労働省告示第7号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」など法令等で義務づけられている場合を含む。)。
なお、就業規則等において、○時以降の残業を禁止、○時以前の始業を禁止とするなどの定めのみの場合には、勤務間インターバルを導入していないものとする。
要するに、就業の禁止や残業の禁止時間ではなく、「就業規則等において終業から次の始業までの休息時間(=インターバル時間)」についてきちんと明記することが重要であり、助成金をもらう上ではこの時間が「何時間か」が重要となります。
支給対象となるインターバル時間
では「就業規則等において終業から次の始業までの休息時間」が何時間であれば助成金の対象となるかというと、「9時間以上11時間未満」もしくは「11時間以上」。
どちらにするかで助成金の助成額が変わります。
すでにインターバル制を導入している場合は助成対象となりません。
ただし、現在のインターバル制の対象となる労働者がその事業場の半数以下である場合、インターバル制の対象範囲を拡大しその事業の労働者の半数を超えるようにした場合は支給対象となります。
また、同様にインターバル制を導入しているものの、その時間が9時間未満の場合、9時間以上となるよう制度を変更する場合も支給対象となります。
すでに導入済みの場合は上記の2つの場合でも、新規にインターバル制を導入するのに比べて助成額は減ります。(後述)
インターバル助成金は「経費補助型」
そろそろみなさん気になる、お金の話をしていきたいと思います。
この助成金、先日の記事でわたしが勝手に分類した「目的達成型」と「経費補助型」で言えば、「経費補助型」。
つまり、インターバル制の導入にかかった費用の一部を補助するもの。
よって、インターバル制を導入すればお金がもらえる、は間違ってませんが、制度導入にかかった費用以上のお金はもらえないことに注意。
経費の「4分の3」を助成。ただし、上限あり
どれくらいの経費が補助されるかというと、かかった費用の合計額の「4分の3」。
ただし、金額に上限が定められています。
そして、この上限はインターバルの時間を「9時間以上11時間未満」とするか「11時間以上」とするかで変わります。
また、インターバル制を「新規に導入」するか、「すでに導入済み」で上の方で説明した条件を満たしたか、でも変わります。
表にすると以下の通り。
インターバル時間 | 新規導入 | すでに導入済み |
9時間以上11時間未満 | 40万円 | 20万円 |
11時間以上 | 50万円 | 25万円 |
新規導入で、インターバルの時間が11時間以上の場合が一番助成金の上限が高くなります。
支給対象となる経費
さて、そもそも、勤務感インターバル制度を導入するのに、お金ってかかるの? とお思いの方もいるかもしれませんが、意外とかかるというか、かけないとこの助成金はもらえません(経費補助型なので)。
では、どのような取り組みに対して経費を補助するかというと、こちらも以下の通り、厚生労働省から発表されていて、いずれか1つは実施しないと、助成金はもらえません。
支給対象となる取組
いずれか1つ以上実施してください。○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
○就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の 整備など)
○労務管理用ソフトウェアの導入・更新
○労務管理用機器の導入・更新
○その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新※ 原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
例えば、インターバル制度を導入するには就業規則等の変更は必須となりますが、それらをすべて自社内でやって1円も使ってない、となると、助成の対象とはなりません。
以上です。
支給の条件だけ見ると意外とシンプルで、条件も満たしやすいのではないでしょうか。
特に、助成金のためではなく、きちんと自社の労務管理のためにインターバル制の導入を考えているのであれば、申請を検討する価値はあると思います。
今日のあとがき
まとめで述べたように、支給条件は割とシンプルな助成金です。
ただし、経費補助の助成金の場合、あらかじめ支給対象となる事業場として承認を受けるための申請を行い、その上で、支給の条件を満たして支給申請する、という形になります。
つまり、2段階申請。
1段階目の申請というか承認を受ける前にインターバル制を導入していると新規とみなされない他、1段階目の段階でかかる費用の見積書などが必要となったりするので、条件を満たすだけでなく、申請方法にも十分な注意が必要です。