副業・兼業

来年度より本格化する政府の副業後押しの内容をチェック

2017年2月20日

今日はこちらの記事について。

正社員の副業後押し 政府指針、働き方改革で容認に転換

去年末の日経新聞の記事ですが、なぜか昨日になってわたしのTwitterのタイムラインに表れた上に、わたし自身記事が出た当時はスルーしていた話題だったので取り上げたいと思った次第です。

 

政府の副業後押し① モデル就業規則の改正

で、副業を政府が後押しするのには段階が3つあるそうで、第一段階は厚生労働省が出しているモデル就業規則の規定についての変更。

現状は副業に関して、

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

⑥ 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。

モデル就業規則 全体版 (平成28年3月30日)(リンク先PDF 参照:厚生労働省)

以上のようになっているものを、原則、副業や兼業を認める形で盛り込むとのこと。加えて、認めない場合の例外規定等も盛り込むのだとか。

モデル就業規則はあくまでモデルであり、法的拘束力も当然ありませんが、まあ、第一段階と考えれば、そうとやかくいうほどのことでもないでしょう。

現行のものの規定のあまりの時代遅れ感を除けば(笑)。

 

政府の副業後押し② 法制度の改正

さて、企業側として注目しておくべきは二段階目です。

二段階目では、社会保険の負担や、残業代の負担等について話し合いが行われる予定です。

というのも、現行の労働基準法では、ダブルワークが行われた場合、後に行われた会社で残業代が発生しますし、ダブルワーク先でも社会保険の加入条件を満たすと、そちらでも加入して保険料の按分を行う必要があり手間。

おまけに、雇用保険は雇用保険で、副業先の収入は失業時に反映されないなど、どの法律でも副業を想定したものとなっていません。

そうした副業を阻む法制度や規制に関してメスを入れる、というのが2段階目。

話し合いは来年度以降、つまり、今年の4月以降から開始されるそうです。

 

政府の副業後押し③ 職業訓練の強化

第3段階では、これまでのOJT頼みの人材育成を是正し、大学等で人材育成のための新コースの創設を目指すようです。

結局、OJTの場合、その会社のみでしか役に立たないスキルの習得しか行われないからでしょう。

こちらに関しては厚労省だけでなく文部科学省も関わってくるので、ちょっとどうなるか読めませんね。

国が定める教育内容、どんなジャンルでもピントがずれてることも多いので。

 

まとめ

以上です。

簡単にまとめると、以下の通り。

  • 第一段階:モデル就業規則の副業規定を改正する
  • 第二段階:副業を阻む法制度の改正をする
  • 第三段階:教育訓練を拡充する

いずれにせよ、政府が大々的に正社員の副業を後押しするとなると、たいした理由もなしに、自社の社員の副業を制限することは難しくなるはずなので、会社としては対応が必要となるでしょう。

とりあえず今後、第二段階でどのような話し合いが行われるかに注目です。

ちなみに、現行の法制度で副業について気をつけるべきことは以下の記事で、詳しく解説していますのでご参考にしていただければと思います。

副業について法的に会社と労働者が気をつけるべきこと【労働基準法編】

【労災保険編】副業について法的に会社と労働者が気をつけるべきことPart2

【雇用保険編】副業について法的に会社と労働者が気をつけるべきことPart3

【社会保険編】副業について法的に会社と労働者が気をつけるべきことPart4

名古屋の社労士が教える社員の副業・ダブルワークに対して会社が決めるべき7つのこと

 

今日のあとがき

冒頭でも言い訳してますが、この記事を書こうと決めた元記事は去年末に出たもの。

ニュース記事を元にブログを書く場合、あまり古いものを元にするのは時事性がなくなるし、何を今さら感が漂うので、基本は避けるのですが、今回は記事が出た当時と現在の状況が変わってなかったのと、その重要性に重きを置いて記事にしてみました。

記事が出てから2ヶ月くらい経ってますが、モデル就業規則もまだ変わってなかったし(笑)。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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