平等に貧しくなんてなりたくないので、今日もブログを書く社労士の川嶋です。
もちろん、ブログだけでは食えないので、他の仕事もしますが。
さて、今日はこのブログで以前、批判したプレミアムフライデーについて、労働契約や就業規則等の面で真面目に検討してみたいと思います。
この記事の目次
プレミアムフライデーとは
プレミアムフライデーとは、月末の金曜日を15時退社にして、余った時間を消費に使おうという取り組み。
時短勤務の推奨なので厚生労働省の発案のように思えますが、実際には、消費が主目的ということからもわかるとおり、経産省と経団連の発案です。
なので、これに関連した助成金が出てくるかも不透明。
おおかた、昨今の長時間労働への批判的空気を消費につなげようと考えたのでしょうが、いくら何でも浅はかだろうと批判したのが以前の記事。
ただ、ミスドなどのように、キャンペーンを張ってこれに同調する動きも出てきているのも確か。
短縮された分の賃金はどうなるか
さて、プレミアムフライデーを導入するとなると、月末の金曜日だけ、労働時間が2~3時間(終業時刻が17時から18時の場合)短縮されます。
では、短縮された分の賃金はどうなるのか。
短縮された労働時間はノーワーク・ノーペイの原則により、基本的には賃金は発生しません。
時給制でシフト制のパートタイマーなどの場合は、シフトを調整するだけで特に問題はないでしょう。
一方、面倒なのは正社員などのように1日の始業時刻・終業時刻・所定労働時間が決まっている人の場合。
終業時刻の繰り上げと休業手当
例えば、労働契約上や就業規則上で、終業時刻が「18時」となっている場合、労働者はその時間まで働く義務があるし、会社にはその時間分までの労働を提供する義務があります。
なので、会社の都合(※)でこの終業時刻を繰り上げて、所定労働時間を短縮するというのは基本的には契約違反。
ただし、労働基準法上は平均賃金の6割以上を休業手当として支払えば、違反は回避できるとされています。また、短縮された労働時間だけで平均賃金の6割以上の賃金分を稼いでいる場合は、支払う必要はありません。
つまり、短縮分を引いたプレミアムフライデーの1日あたりの賃金が平均賃金の6割より少ない場合はその分、休業手当を支払う必要があるわけです。
ただし、平均賃金の6割以上の休業手当で違反が回避できるのは労働基準法だけの話で、民法上は100%の賃金請求権があることに留意しておく必要があります(労基法上は問題なくても、民事で争った際に請求される可能性がある、ということ)。
※ プレミアムフライデーは政府が音頭を取っているものの、導入は任意なので十中八九、短縮分は会社都合と判断されるはず。
まとめ
以上です。
今回はあくまで、就業規則や労働契約に手を加えず、業務命令で済ませる場合についてお話をしました。
簡単に注意点をまとめると、
- 時給制&シフト制の場合は特に問題なし
- 正社員等の場合、短縮した場合のその日の賃金が平均賃金の6割未満になっていないかどうか
- 民法上の100%の請求権に配慮するかどうか
の3点です。
明日は就業規則の変更や変形労働時間制を利用した方法について解説したいと思います。
追記:本記事の続きはこちらから
今日のあとがき
最後の締めの通り、明日もプレミアムフライデーについて書く予定ですが、今日の内容も明日の内容も、基本的にプレミアムフライデーに限らず「所定労働時間を短縮する」というのはどういうことなのか、何に気をつければいいのか、について書いています。
なので、プレミアムフライデーに興味がない場合や導入する予定がない場合でも、本記事や明日の記事はご参考になるのではと思うので、明日の記事もよろしければご覧ください。