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その他 労務問題(時事)

残業代の分を歩合給から差し引くのは有効か、という裁判が現在佳境です(追記あり)

2017/02/28

先週の朝日新聞に出ていましたが現在、賃金規程において非常に興味深い裁判が行われています。

残業代払わない会社規則は無効? 最高裁が判断へ

こちらタクシー会社の案件ですが、問題となっている賃金規程を簡単に説明すると、時間外・深夜手当が発生した場合、その分と同額の歩合給を差し引くというもの。

つまり、時間外・深夜手当が2000円発生したとしたら、歩合給から2000円を差し引くというわけです。

これでは実質的に時間外・深夜手当を支払われていない、ということで労働者が会社を訴え、1審・2審ともに労働者側の勝利で終わっています。

しかし、最高裁に来て少し潮目が変わってきたようで、最高裁は1月31日に「双方の意見を聞くための弁論」を開きました。

結論を2審から変えるにはこの弁論が必要となります。

 

残業代は長時間労働へのインセンティブでは?

さて、深夜手当はともかく、時間外手当に関してはもともと、会社が時間外労働を抑制する以上に、労働者が残業するインセンティブになっているのでは、との意見が有識者の中でも多くあります。

だから、長時間労働がなくならない、というわけです。

今回の件では本音か詭弁かはともかく、会社側は

会社が指揮・監督できず、売り上げのために過重労働に陥りやすいタクシー運転手の非効率な時間外労働を防止するもの

と、規定の理由を説明しています。

要するに、法定労働時間以上だったり深夜に働くのは非効率だからその分、歩合給は下げる、というわけです。

 

どちらに転んでも時間外手当に関する新たな判断に

判決が出る前なのでなんとも言えませんが、今回の件は深夜・時間外手当に対応して差し引いているのが歩合給という、いわば成果給の部分で、基本給やその他の手当から引いているわけではないのもポイントなのかもしれません。

確かに、長時間働けば成果は出るのはある意味当然、でも、本来短い時間で成果を出す方が良いわけですから、労働時間に応じて歩合給を下げること自体に合理性がないかと言えば判断は難しい。

ただ、だからといって、深夜・時間外手当の意味をなくすような減額が認められるのか。

 

いずれにせよ、この判決は深夜・時間外手当に関する大きな判断となるはずなので注目したいですね。

判決は今月末の2月28日に下されます。

 

追記:最高裁の判断は「差し戻し」。最高裁判所は「(会社の規定は)当然には無効と言えない」としもう一度、高裁で審理のやり直しとしました。

 

今日のあとがき

同じ記事によると、同じ会社の別の運転手たちも同様の裁判を起こしているらしいです。

なぜ、一緒に裁判をしなかったのかわかりませんが、そちらは下級審で「規則は有効」という判決が出ているらしいので、ますますどうなるかわかりませんね。

それこそ会社側が勝つと、全国のあちこちでこの裁判をテーマにした社労士・弁護士のセミナーが頻発しそうです(笑)。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。