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労務問題

なぜ年功序列型賃金の代わりが職務給なのか

2016/04/20

いくつかの企業、それも大企業で日本型雇用の特徴でもある年功序列型賃金を見直す動きが出始めていますね。

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年功序列型賃金を見直すとなると、成果主義や能力主義を導入するのかなと思う人も多いかと思います。しかし、現在話題になっている企業の多くは労働者の行う職務に対して賃金を支払うという、いわゆる職務給を導入するとしています。なぜでしょうか。

結論を先に言ってしまうと、職務給を導入しないことには能力の判断なんてできないからです。

年功序列型賃金の正体

現在の日本の企業では年功序列型賃金が主流とされていますが、厳密に言えば、総合決定給と呼ばれる、年齢の他に仕事の種類や内容、職務遂行能力、役職や会社への貢献度、あるいは家族の有無といった労働者の属性を総合的に判断して給与を決めています。

ただ、総合的に決めているから労働者の能力や成果もきちんと反映されているかといえば、必ずしもそうでもありません。

給与を総合的に判断している、というと聞こえはいいですが、実際には明確な判断基準がないというのと同義であり、そのときどきの会社の状況や業績に影響を受け、客観的に後々見るとどこがどうなってこの給与になったのかさっぱりわからない、というタコツボ化した給与ができあがってしまっている場合がほとんど。ただ、その中でも年齢については基準が明確なこともあり、総合決定給といいつつも結局は年齢が一番の判断材料となってしまっているのが現在の年功序列型賃金なのです。

職務給から始まる成果給

職務給では、総合的に給与を判断するというような曖昧なことはやめて、まずはどのような職務に就いているかが給与の判断基準となります。給与決定のプライオリティのトップが職務になるわけです。

各々の職務の難易度や価値といったものを考慮に入れた上で、会社内にある様々な職務に対してあらかじめ値札を貼るので、どの職務につけばどれだけの給与がもらえるかが総合決定給と比較して明確で、客観性も高くなるのが職務給の特徴です。

おまけに各々の職務に値段が付いているので、営業に求められる能力や成果、事務に求められる能力や成果、商品開発担当に求められる能力や成果、といった形で、各々の職務に応じた能力と成果に関する判断基準も定めやすくなります。このようなに職務給に労働者の能力等を考慮して一定の幅を持たせた賃金制度を範囲職務給(レンジ・レート)と言います。

このように職務を明確にすることで、労働者個々の能力判断の基準を明確化することが、職務給導入の狙いであり、ひいては成果給導入に繋がるわけです。

最後に職務給に関して最も問題となるのは、言うまでもなく各々の職務の価格相場ですが、まずはリンク先の記事にあるような大企業のものが基準になっていくのでしょう。それが適正なものなのかどうかは、今後、そうした企業で職務給が普及することで、それ以外の大企業やさらにはその中小企業に普及していくことで是正が進んでいくはずです。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。