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労務問題(時事)

ゆるい就職「週休4日15万円」の中には「安定」の大前提が含まれている

2016/04/20

ゆるい就職:若者が正社員で働くのは「負け」 慶大助教が提案

という記事が話題になっていますね。まあ、個人的には若い人がどういう働き方を求めようと好きにすればいいと思います。わたし自身まだまだ若いので、世代間格差のようなアンフェアな事例には若者側に立って本気で怒ったりもしますが、それはあくまでマクロな話で、こうしたミクロなしかも個々の嗜好に関わる事柄についてはあまり興味がないからです。ただ、記事内の

2時間を超える白熱したワークショップの間、ほとんど誰も「安定」の2文字を口にしなかった。

という言葉にはどうにも引っかかるものがありました。

なぜなら、「週休4日15万円」という、この「ゆるい就職」の象徴とも言える労働条件には、あらゆる意味で「安定」が大前提として、しかも当たり前のように含まれている気がしてならないからです。

まずは、今後も世の中が「安定」しているという前提です。「週休4日15万円」で働く人を許容出来るだけの経済的な体力が日本になければ、そもそもこうした働き方は成立しませんからね。しかし、現在の日本は、財政破綻リスクや年金破綻リスクを抱え、中国や東南アジアとの競争にさらされています。そうしたなかで、日本が5年後、10年後も貧困化することなく現在の地位を継続できているかは誰にもわかりません。

また、自分自身の加齢や体調変化、病気や怪我等のリスクが一定の値(それもかぎりなく低い値)で「安定」している必要もあります。大きな病気や怪我は多くの人の人生の狂わす大きな要因です。しかも、そうした病気や怪我のリスク歳を取れば取るほど高まるわけですが、彼らはそうしたリスクをどのようにヘッジするつもりでいるのでしょうか。

そして、上の話ともつながりますが、そもそもの話「週給4日15万円」で売れるだけの自分の労働力としての価値が「安定」していなければ、こうした働き方をしようと思ってもお話になりません。大卒で就職して30歳で転職を考えている労働者と、30歳まで引きこもっていた労働者では、同じ年齢でも市場価値が全く異なるように、自身の価値をなにも積み重ねぬまま歳を取れば労働市場での自分の価値は下がるばかりです。ゆるい就職を求める若者たちは、そうした自分の価値をどのようにキープするつもりなのでしょうか。

「週休4日15万円」のハードル

結局、何が言いたいかというと、「週休4日15万円」を維持するのだってそれなりに大変なことなのだから、「ゆるい就職」や「週休4日15万円」という甘い言葉に勘違いしてはいけないよ、ということです。

自分の好きなように自由に生きたい、と思うのはそれこそ個人の自由だし多くの人が求めることでもあり、好きに思えばいいと思います。しかし、人気漫画ワンピースの主人公ルフィは「誰よりも自由に」生きようとした結果、実力が伴わず兄を救えないまま自分も一度死にかけました。自分の好きなように生きるには、それ相応の実力が必要だということです。そして、それはすなわち、ゆるい就職が最終的に行き着く先がゆるくもなんでもない競争社会であることを意味しています。

彼らがそのことに自覚的であるならば何も言うことはありません。競争を勝ち抜いて「週休4日15万円」の労働条件を勝ち取ればいい。「週休4日15万円」というのは、当たり前のように言ってますが、1日8時間、月12~13日働くとして、月にだいたい所定労働時間は100時間、時給に直すと1500円とそこそこに好待遇ですからね。なかなか高いハードルですが、どちらにせよ、世の中が今後、競争社会化するのは避けられないでしょうから問題ないはずです。

しかし、「週休4日15万円」という甘い言葉になんとなくつられているだけで、あるいは「週休4日15万円」なんて楽勝だろうと甘く見たり望めば簡単に手に入るだろうと考えたりしているのなら、結局はフリーターという言葉に飛びついたかつての若者たちと同じ道を辿ることになるでしょう。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。