書評

自分のやり立てほやほやのミスを『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』を読みながら解析する

いきなりですが、今日わたしがやらかしたミス。

今日は朝から顧問先の社会保険の調査のため、年金事務所に行く予定でした。

そして、なんとか時間通りに指定の年金事務所に着いたと思って安心して資料の確認をしてたら、年金事務所を間違えていたことが発覚!

結果1時間ほど調査の時間に遅刻してしまいました。

なんでそんなミスをしたかというと、1つには間違えていった年金事務所に別会社の調査で行く予定が再来週にあったこと。

そして、スケジュール管理に使ってるGoogleのカレンダーに、今日の調査には場所を入れてなかったのに、再来週にいく予定には場所を入れていたため、スケジュール確認のためにアプリを開く度にそれが目に入る。

結果、今日行く年金事務所の場所が別のものに刷り込まれてしまったと考えられます。

考えられます、って、ミスした分際で何を偉そうな言い方してんだって話ですが。

 

人の頭はどうしてミスを犯すのか

で、なんでこんなブログでわざわざ晒さなくてもいいことを書いているかというと、つい最近こういう本を読んでいたから。

こんなミス話の後に紹介すると「効果ねえじゃねえか」という風評被害を生みそうで、筆者の方にに申し訳が立たない気持ちでいっぱいですが、まあまあ、ちょっと待ってください。

実は、本書「仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方」というタイトルですが、内容としては「人の頭はどうしてミスを犯すのか」についての科学的な解説に多く割いていて、その上でミスしない方法を紹介しています。

なので、今回のわたしのようなミスを犯したとしても、それがどうして起こったのか原因分析がしやすく、そして、次はどうすれば防げるのか、ということを対処法として学べる内容となっています。

 

「覚えた」は当てにならない

今回のわたしのミスの場合、大きな要因は2つです。

1つは今日のスケジュールに場所を入れなかったこと。

もう1つは、逆に次のスケジュールには場所を入れてしまったこと。

1つ目についてはきちんと場所を入れていれば、今回のミスは避けられたでしょう。

では、なぜ入れなかったかといえば、資料を見てスケジュールを入れた段階で行く年金事務所を覚えたと錯覚したからでしょう。

でも、本書の以下の箇所でも触れられていますが、

"簡単に忘れてしまうなら最初から過信しなければいいのですが、注意を向けて「腕」でしっかりつかんでいる間は「確実に覚えた」と強い実感が湧きます。その感覚は、あなたが長期記憶として覚える記憶の「覚えた」感覚と変わりません。

だから錯覚するのです。"

『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』(宇都出雅巳 著) より、

人間の「覚えた」ほど当てにならないものはないわけです。

 

書いてしまったがためにミスった?

また、2つ目については入れてなければ間違えた方の年金事務所が「アンカリング」されることがなかったはずです。

「アンカリング」とは行動経済学で使われる言葉で「ある1つの言葉」に人の意識は無意識に引っ張られやすい性質のことを言います。

例えば、ある2桁の数字を思い起こさせた後に、最高級のワインの値段を当てさせるクイズをすると、始めに思い起こさせた2桁の数字とワインの値段が似通う、といったことが実験で証明されています。

今回の場合で言うと、スケジュール確認するたびに「○○(間違えた方の)年金事務所」と出てくるので「○○年金事務所」がアンカリングされてしまったわけです(アンカリングと言うにはかなり直接的ですが)。

なので、書かなければ思い込みを避けることができる可能性がありましたが、とはいえ、入れてなければ次回間違える可能性もあったので、書かないよりは書いた方が良かったはず。

そして、何より、両者のミスに共通しているのは、スケジュールの書き方に統一性を持たせていなかったことです。実際、これまで決めておらず、場所は入れていたりいなかったりしていて、入れてない場合は当日や前日に確認すればいいみたいにしていました。

実際、タイトルさえ入れていれば、場所の見当は付く、という思い込みもありましたしね。

 

次やらかさないために対処法を考える

で、結局どうすれば良かったのかと言えば、1つ目のような記憶のミスに関しては、自分の記憶に頼るのではなくメモを有効活用した方がいい、というのが本書の方法です。

ただ、今回はメモしてても間違えているので、メモの書き方を工夫するためのメモが必要そうです。

また、2つ目のアンカリングに関しては、人の脳には「早い思考」と「遅い思考」(ダニエル・カーネマンの言い方では「システム1」と「システム2」)があることを知っておく、というのがまずはスタートライン。

わたし、一応、行動経済学会の会員なので(こういうテーマでこれ書くのは、今度は学会の人に悪い気になる(笑))、「早い思考」と「遅い思考」については当然知っていましたが、

ただ、数日前からすでにわたしの「早い思考」は暴走していた(本書を読むと意味がわかります)ので、歯止めにはならなかったっぽいですね…。

よって、今回の反省を活かすには、「スケジュールは場所を入れたり入れなかったりといったように、その場その場の書き方をせずきちんと場所も入れること」、という、なんとも社会人1年目みたいな結論になりました。

 

「次、同じミスをしないために」前向きな気持ちになれる本

さて、本書のテーマは、あとがきにもあるように「ミスは絶対なくすもの」という気持ちから、「ミスはなくせない」という事実を受け入れ、そこからどうするか、というものです。

なので、今回は恥ずかしげもなく、自分のミスを晒してさらに解析までしてみましたが、「自分は31にもなって指定された場所にも行けないのか」おかげで落ち込まずに済んでます(笑)。

仕事でミスしたときというのは、多くの人にとってはつらいことだと思います。

でも、本書を読むと、その原因がわかる上に、次回以降なくすための方法も記載されているので、次はこうやって回避しよう、という前向きな気持ちになれるのでオススメです。

 

今日のあとがき

今日のミスはですね、この記事で紹介してる本を読んでる真っ最中にやらかしたんですよね。

ちなみに、ミスによって乗ることになった地下鉄車内で読了しました(笑)。

今回は自分のミスにフォーカスを当てて本書を紹介しましたが、もう少し紹介したい部分があるので、明日も本書を扱う予定です。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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