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マイナンバーと法人番号で(理論上)添付書類はどこまで減るかの思考実験

2017年1月19日

実は、この年末年始はお客様の派遣許可の申請に忙殺されておりました。

どうして忙殺されていたかと言えば、この手の手続きで避けて通れない大量の添付書類のせい。

集めたり作ったり大変だったのです。

ちなみに派遣許可で必要となる添付書類は以下の通り。これに加えて、申請書等が必要となります。

  1. 定款または寄附行為
  2. 登記簿謄本(全部事項証明書)
  3. 代表者・役員の住民票の写し
  4. 代表者・役員の履歴書
  5. 最近の事業年度の賃貸借対照表・損益計算書・株主資本変動計算書
  6. 法人税の納税申告書(別表1、別表4)
  7. 法人税の納税証明書(その2 所得金額表)
  8. 賃貸借契約書
  9. 派遣元責任者の住民票の写し
  10. 派遣元責任者の履歴書
  11. 派遣元責任者講習受講証明書
  12. 個人情報適正管理規程
  13. 就業規則または労働契約
  14. 派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いたマニュアル等
  15. 企業パンフレット
  16. 事業所のレイアウト図
  17. 自己チェックシート(様式15号)

これだけの数なので、全てを社労士だけで集めるのは大変困難。

そのため、こうした許可手続きや、同様に添付書類の多い助成金申請では、会社の方のお手も随分煩わせることになります。

 

ちなみに、提出書類の詳細は東京労働局のこちらの資料が役に立つのでこちらを。

参照:労働者派遣事業許可申請【添付資料一覧】(PDF 東京労働局)

 

マイナンバーや法人番号で添付書類は減る(はず)

ただ、今年の7月以降に稼働が開始するマイナポータルや法人ポータルが稼働を開始すると、添付書類の数はおそらく減るはずです。

ていうか、減ってくれないと何のために始まるのかわからない…。

というわけで、どれくらい減るのか自分なりに確認してみたいと思います。

以下は、あくまで、今出ている情報の中で、この情報とこの情報は役所同士で情報連携されるはずだから、というわたしの考えに則ったもので、行政から正式に発表されているものではないのであしからず。

では、早速。

 

省略可? 不可?

まず、1の「定款または寄附行為」ですが、いきなりわからない(笑)。公証役場の情報って法人ポータルで共有されるんですかね?

されるのであれば添付書類として不必要になる可能性はありますが、ただ、公証役場にあるのって基本紙で電子化されてないので難しいかも。

というわけで、1については省略は難しそう。

 

2の「登記簿謄本(全部事項証明書)」は省略できるはずです。法人番号自体、謄本の番号に1桁足してるだけですし。

3の「代表者・役員の住民票の写し」は、個人のマイナンバーを労働局に提出すれば、市町村役場から取得可能となるはず。

4の「代表者・役員の履歴書」はどこの役所も、国民一人一人の履歴なんて把握してないはずなので省略は不可。

5、6、7は国税の情報が続きますが、税務署との連携で法人ポータルから確認できるようになるはず。

8の「賃貸借契約書」は、私人間の契約なので行政が把握してるはずがないので省略不可のはず。

9、10は3、4と同じ。

11の「派遣元責任者講習受講証明書」は、講習自体は民間がやっていて、行政まで情報がいかないはずなのでおそらく不可。ただ、マイナンバーカードなんかに受講履歴等が残るようになるなら、そちらの方向で省略されるかも?

12の「個人情報適正管理規程」は会社が作成するもので、派遣許可以外で提出義務はないので省略不可のはず。

 

13の「就業規則または労働契約」は一部規定があるかの確認に必要となります。

で、就業規則は監督署が持っているはずですが、どうなんでしょうか…。電子でほぼ提出できない現状をみると、正直、法人ポータルで共有できるビジョンが見えません。

 

残りの14から17は、派遣許可以外で行政に提出する必要性がないものであり、行政が持ってない情報は当然、役所同士で情報連携することは不可能なので省略不可のはず。

 

省略できるようになるはずのものまとめ

さて、長々と予想・解説してきましたが、まとめると以下のようになります。

法人番号を使うものは赤文字、マイナンバーを使うものは青文字です。

  1. 定款または寄附行為
  2. 登記簿謄本(全部事項証明書)
  3. 代表者・役員の住民票の写し
  4. 代表者・役員の履歴書
  5. 最近の事業年度の賃貸借対照表・損益計算書・株主資本変動計算書
  6. 法人税の納税申告書(別表1、別表4)
  7. 法人税の納税証明書(その2 所得金額表)
  8. 賃貸借契約書
  9. 派遣元責任者の住民票の写し
  10. 派遣元責任者の履歴書
  11. 派遣元責任者講習受講証明書
  12. 個人情報適正管理規程
  13. 就業規則または労働契約
  14. 派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いたマニュアル等
  15. 企業パンフレット
  16. 事業所のレイアウト図
  17. 自己チェックシート(様式15号)

い、意外と省略されなかった。

17個中6個がゆくゆくは省略可能になるのでは、という結果なので、なんやかんや3分の1は不要になると考えると、まあ減ってるんですが、元の数が元の数ですからね。

あと、添付書類ではない、という理由で省いた申請書本体の方でも、労働保険や社会保険に関する情報は、法人番号だけ書けば、あとはわざわざ書く必要がなくなるのでは、と思われます。

 

以上です。

繰り返しになりますが、上記の結果はあくまで今出てる情報からわたしが推測したものであり、行政からの正式発表とかでは全然ないので、その辺差し引くのだけお忘れなく。

 

今日のあとがき

便利になる便利になる、と言われているマイナンバーや法人番号ですが、こと派遣許可のように、添付書類が多く、加えて、行政が把握していない情報に関する資料が多いと、案外添付書類は減らないんだな、というのがわかりました。

今度は、許可申請同様に添付書類の多い助成金もやってみたいですが、逆にほとんど添付書類がなくなりそうな手続きを探して、似たようなことをやってみるのも制度を公平に見る上でおもしろいかなと思ってます。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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