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労務問題

新卒と中途で異なる試用期間の意味

2016/04/20

3ヶ月が一般的と言われる試用期間。なので、そろそろ、試用期間制度を置いている各企業の新卒社員の試用期間も終わる頃かと思われます。今日はそんな試用期間のお話。

試用期間の社員からすれば、やっと終わる、といった感じでしょうか。

会社側からの視点からするともしかしたら「期待はずれ」な社員もいるかもしれません。

では、そうした「期待はずれ」な新入社員を、「能力不足」だと言って、試用期間の終了とともに会社が簡単に切ることは可能なのでしょうか。

結論から言ってしまうと「新卒」ならかなり難しい。逆に「中途」の場合はきちんとその理由を示せれば不可能ではない、といった感じです。

順をおって説明していきましょう。

そもそも能力不足による解雇は簡単ではない

このブログでも何度も述べていますが、日本で労動者を解雇することは簡単ではありません。特に、上で述べたような「期待はずれ」、つまり能力不足による解雇はそうです。一方、試用期間での解雇については、普通の正社員の解雇に比べると広く認められる傾向があるのは確かです。そのため、本採用後よりも解雇しやすいのは確かでしょう。

ただし、「能力不足」による解雇には、対象となる労動者が客観的に見て明らかに能力が不足していることを会社側が証明しなければなりません。

しかし、新卒の社員の場合、そもそも「能力が不足」しているのはある意味で当たり前、というのが世間一般の認識であり、ちょっとやそっと仕事ができないくらいでは、裁判になった時に裁判官に「ちゃんと教育してあげなさい」と言われるのがオチでしょう。

また、新卒一括採用という日本独特の雇用慣習上、多くの学生からすると新卒の状態が最も市場価値が高い状態にあります。新卒の労動者を解雇する、というのはその最大級のチャンスを会社が潰すことでもあります。それもあって、日本で新卒の労動者を解雇することは例え試用期間であっても簡単ではないのです。

一方、中途採用の場合はどうでしょうか。多くの会社が中途で労動者を採ろうとする場合、求めるのは即戦力であり、労動者の方も自分が会社の戦力になれることをアピールするはずです。

しかし、即戦力で取ったつもりが実際には期待はずれだったとなれば、会社が労動者を解雇したくなるのもわかるというもの。事実、新卒採用と比較して、このようなケースでの判例では会社の解雇有効性が認められやすい傾向にあります。

新卒の試用期間は教育期間と割り切る必要も

こうしたことから、一口に試用期間と言ってもその意味合いは新卒と中途でかなり異なることがわかるでしょう。

中途採用者の試用期間は言葉通り意味で問題ありませんが、新卒社員の試用期間というのは事実上、会社がその労動者を育てる期間と割り切ったほうがいいかもしれない、ということです。

なんだか、会社の経営者からすると腑に落ちない面もあるかもしれませんね。社員教育だってただじゃないわけですから。

ただ、現在の日本の雇用環境の現状を見るとこうした傾向は今後も続くでしょう。

なので、ここは前向きに、新卒と中途で異なる試用期間の性質を鑑みて、新卒はその期間を6ヶ月とし長い目で育てながら様子を見、中途は期間を短くし本採用するかどうかの判断を早めに行うといったように、2つの試用期間をうまく使い分ける運用も考えてみてもいいかもしれません。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。