時事のよもやま話

プレミアムフライデーは「労働者=消費者」のニーズを全くつかめてない

2016年12月13日

Twitterでも散々文句言ったけど、

今度は「プレミアムフライデー」 来年2月から実施へ

近頃話題になった「ブラックフライデー」に続く、経産省や経団連とその他業界団体による消費の活性化の一環らしいです。

で、その内容を聞いてビックリしたんですが、なんでも

「月末の金曜日に午後3時退社を推奨」

らしいです。

…。

月末の金曜日なんて定時でも帰れるか!!!!!!

 

月末の会社と労働者は忙しい

どうして、定時に帰れないのか。

働いてる人たちには言うまでもないことなんですが、会社の月末って基本的に忙しいわけです。

賃金の締めと支払いが「20日締、末払い」みたいになってたり、請求書の作成・発行のように、その月を総括するような業務は当然ですが月末に集中します。人事考課なんかも月末にするところは多いでしょう。

つまり、「月末が締め切り」という仕事が、多くの会社にはあるわけです。

にもかかわらず、「月末の金曜日は午後3時退社」って、大きな声では言えないですけど、

バカ?

ですか。彼ら。

なにより頭おかしいと思うのが「消費を盛り上げる」とか言っておきながら、このキャンペーンのメインターゲットとしている消費者、つまり、労働者のニーズを全くつかめてない。月に1回、金曜の午後3時退社は百歩譲って認めても、月末ってのはもう最悪。

というか、ニーズがつかめなくて、なにが経団連だ! 業界団体だ!

 

労働時間を短縮の言い訳にも使えない愚策

言っときますが、社労士の立場としては、労働時間の短縮につながるようなキャンペーンにはなるべく乗っかって、

「世間ではこういう流れなんで」

みたいな感じで、長時間労働が多い事業所とかに時短を持ちかけたいところなんですよ。

午後3時までに帰るために早く仕事を終わらせられるように業務を効率化しましょう、とかなんとか言って。

でも、これは全く押せない。

こんなの押したら「お前は会社と言うものをなにもわかってない」といわれて終わりだし、月末の金曜に午後3時に帰ることが、いったいなんのモチベになるっていうんだかわからない。

 

早く帰ることが消費につながるのであれば…

そもそも、早く帰ることが消費につながるのであれば、暇な時に早く帰れるよう、労働法を変えることに注力しろって話です。

何度も書いている話なので繰り返しませんが、

会社が暇な時に早く帰って、その代わりに忙しいときは残業する、みたいなことが日本の労働法では構造上やりにくいことが長時間労働の原因の1つなわけです。

ていうか、わざわざ早く帰ってお店の開いてる時間に帰らなくても、今どきAmazonで買い物なっていつでもできるだろうし、してるし、って話だし、わざわざ休暇の時間を周りと合わせる必要もない。

 

いずれにせよ、今回の施策は何の強制力もない、役所と準役所的業界団体のくだらないキャンペーンの一環なので、みなさん無理する必要はないです。

わたしは労働時間を短縮することには賛成ですが、短縮することに無理のある期間に短縮して業務に差し支えるようなことはする必要はないと思ってます。

ていうか、導入するなら、経産省と厚労省が午後3時退社するようになってからでも遅くはない(笑)。

経産省はプレミアムフライデーの広告費に2億円の予算を取ったらしいですが完全に税金の無駄!

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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