衝撃の合格率2.6%から早1年、今年行われた社労士試験の合格率は4.4%と、昨年ほどではないにせよ、それ以前と比べるとかなり低い水準であることは間違いありません。
受験者数が年々減ってるということもありますが、合格者数も2年連続で2000人を切っていて、合格者数だけみれば司法試験並みです。
では、こうした合格率や合格者数を持って、社労士試験は難関試験となったと言っていいのか、というと、疑問符が残ります。
そもそも、合格率や合格者数で試験の難易度を測れるのであれば、東大の倍率は他の難関大学よりも飛び抜けて高くないといけなくなります。
(東大の場合、センターで足切りがあるから正確な志願者数はどうやっても測れないけど)
合否を決める試験の真の難易度
で、個人的には試験の難易度というのは、合格率や合格者数ではなく、合格最低点、すなわちボーダーラインに達する難易度だと思っています。
ボーダーラインに達する難易度とは、ボーダーラインを超えるだけの実力を得るまでにどれくらい時間がかかるか、という意味です。
例えば、というか、わたしの過去経験で恐縮ですが、わたしの大学受験のときというのは、実質一浪のあいだの1年しか勉強をしていなかったので、どんな私立の難関よりも、国公立の大学の方が難易度は高いと感じていました。
なぜなら、私立であれば3教科くらいを集中して勉強すればいいけれど、国公立だといわゆる5教科7科目が必須となることが多いので、どうひねり出しても、基礎がなってないわたしには物理的な時間が足りないと思ったからです。
これはあくまで一例で、勉強する教科が多いから一概に「ボーダーラインに達する難易度」が上がるわけではないと思います。
重箱の隅をつつくような試験があった場合、そうした試験は細部の詰めが重要になるので、そういう詰めが苦手な人からすれば、教科数の多い試験よりもこうした試験のほうが「ボーダーラインに達する難易度」は高くなるでしょうし。
ボーダーを超えれば受かる、それが試験
なぜ「ボーダーラインに達する難易度」が重要かと言えば、当たり前ですが、合否を判定する試験には、必ず合格と不合格を分けるボーダーとなる点数があるからです。
試験というのは合格率が何%であろうと、合格者数が何人であろうと、このボーダーより1点でも多く点数を取れていれば受かります。
大事なことなので二回言います。
試験というのは合格率が何%であろうと、合格者数が何人であろうと、このボーダーより1点でも多く点数を取れていれば受かります。
あと三回か四回くらい言いたいですが、コピペで文字数稼ぐのもあれなので、自重しておきます。
これは社労士試験に限らず、他の資格試験や高校受験や大学受験にしても一緒。
この部分を間違うと、受験が題材のフィクションでよくある「身近なライバルを蹴落とす」みたいな発想に陥りかねません。
そんなことしたって、自分がボーダーを超えていなければ合格はできないし、逆に言えば、身近な人間が全員ボーダーを超えていれば全員受かるのが受験や資格試験なわけです。
よって、試験においては、合格率や合格者数よりもよっぽどボーダーラインを超えることのほうが重要なわけです。
もちろん、合格率や合格者数が減ると、自然とボーダーラインは上がるものではあるのですが。
「ボーダーラインに達する難易度」は変わったのか
わたしが社労士試験に受かってからすでに4年以上が経っていて、その間、社労士試験の問題も真剣に問いてみたりはしていないので、正直、この数年で社労士試験の「ボーダーラインに達する難易度」が上がっているのか、わたしにはわかりません。(調べる方法があるのかも怪しい)
けれど、少なくとも、わたしが試験を受けていた頃の社労士試験は「ボーダーに達するまではそんなに難しくないけど、選択で足切りに遭う運ゲー試験」でした。(実際、1年目は全体ではボーダーを超えていたが、選択式の労災で足切りに遭った)
その頃と「ボーダーラインに達する難易度」が大して変わっていなかったり、例え上がっていたとしても、他の試験ほど高くないのであれば、社労士試験の合格率がいくら下がろうと、試験の難易度が劇的に上がった、というには無理があるのではないでしょうか。
どんな試験でも構いませんが、これから試験を受ける人は合格率や倍率に惑わされることなく、ボーダーラインを超えられるか否か、試験はそれだけに集中したほういいですよ。