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社労士業務

名ばかり管理職問題再燃か-コンビニ店主は労動者?-

2016/04/20

ニュースの日付が4月3日で、例によって乗り遅れ感がありますが、まあ、いいでしょう。

「店主は労働者」岡山判断に不服 セブン側が再審査申し立て

いろいろと誤解を生むタイトルですね。まあ、その誤解に乗っかって今回の記事をのタイトルを考えた私の言えた柄ではありませんが。

マクドナルド事件と今回のセブンイレブンの件の違い

事件の概要としましては、セブンイレブンからがコンビニ加盟店ユニオンの団体交渉を拒んだのは不当労働行為に当たる、と岡山労働委員会が判断した、というものです。不当労働行為というのは会社が労働組合の活動や権利を不当に制限するものであり、労働組合法で禁じられています。

ただ、労働組合法上の労働組合というのは管理監督者が加入するものを認めていません。なので、セブンイレブンの言い分とすれば管理監督者たるフランチャイズのコンビニ店主のユニオンとの団体交渉に応じる義務はこちらにはない、ということだったのですが、今回はそれが通らなかったわけです。

先に言っておくと、今回の岡山労働委員会の判断は、以前あったマクドナルドの名ばかり管理職問題とはまったく毛色が異なります。

マクドナルド事件のときは、雇用契約関係にある労動者を、名目上管理職とすることで(ようは名ばかり管理職です)残業代支払いを逃れようとしたものでしたが、今回問題となっているコンビニの店主というのはあくまでフランチャイズのオーナーだからです。

フランチャイザーとフランチャイジーが結んでいるのは雇用契約ではなく委託契約ですから、本来、このような問題が起こるはずがないのですが、ではどうして、岡山労働委員会はこのように、彼らを労動者として扱うよう命令したのでしょうか。

プロ野球ストライキ事件を思い出そう

プロ野球選手は労働者なのか個人事業主なのか、というのはよく問題になります。それはつまりチームと選手の結んでいる契約は労働契約なのか委託契約かの問題にも繋がります。

結論から言うと、プロ野球選手というのは「労働基準法上の労働者」ではないと言われています。なぜなら、1日の拘束時間や1年間を通じてチームに拘束される時間が一般の労働者と比べて非常に短い上、働き方もチームからの指揮命令が殆ど無く、彼らの裁量に任されているからです。

では、プロ野球選手が「労働者」ではないと言い切れるかといえば、これは必ずしもそうとはいえません。なぜなら、労働基準法上の労働者とはいえなくても、「労働組合法上の労働者」には当てはまるからです。

なので、プロ野球選手は選手間で組合を持っていますし、もう10年くらい前ですがストライキという形で団体行動も行いました。

労働組合法上の労働者と労働基準法上の労働者の定義が異なり、労働組合法上の労働者の範囲が非常に広いため、こういうことが起こりえるわけです。

コンビニ店主も労働者になりたいわけではない!?

つまり、フランチャイズのコンビニ店主は労働基準法上の労働者に当てはまる、と判断されたのではなく、労働組合法上の労働者に当てはまる、と判断されたわけです。だから、そうした組合の団体交渉を拒むのは不当労働行為だと岡山労働委員会は言っているわけですね。ただし、セブンイレブンの反応としては労働組合法上の労働者にも彼らは当てはまらないということで、再審査を申し立てました。

なんにせよ、「フランチャイズのコンビニの店主が労働者」、と聞くと、コンビニの店主も労働基準法の保護の対象になるのかと早合点してしまいがちですが(わたしも最初勘違いした上で、Twitterでも呟いてしまいました)、そうではないということです。

今回の件というのは、あくまでユニオン側がセブンイレブン側に同じテーブルに着け、という要求ですから、いまのところ、ユニオン側とセブンイレブン側が団体交渉の席に着いた時に、彼らがどのような要求をするつもりかはわかりません。

ただ、彼らのブログ等を見る限り、この団体交渉はフランチャイザーとフランチャイジー間の契約の是正が目的であり、労働基準法の適用を求めているわけでもなさそうです。というか、セブンイレブンに就職したいわけではないのだから当然でしょう。そういった意味で、今回のこの記事は非常にミスリードなタイトルといえますね。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。