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「官製貧困」なんて起こって当然という話

2016年9月12日

先週の話ですが、東洋経済のこちらの記事が随分と話題になってたみたいですね。

月収13万円、37歳女性を苦しめる「官製貧困」

記事のコメント欄には自己責任がどうとか、好きなことやってるんだとかどうとかあります。

また、コンサルタントでブロガーの永江さんは、非正規の公務員は副業できるんだから副業しなさい、と記事に書いてます。

確かにそうだなあ、と思いつつ、わたしの視点はこれらとも少し違います。

 

行政サービスの原資は税金

というのも、国や地方自治体が行ういわゆる行政サービスというものは基本的には税金によって賄われています。

行政サービスを行う人に支払われる賃金、人件費も税金。

税金によって賄われているということは、行政サービスの値段が下がれば、私たちの税金の値段も下がる、ということになります。

もちろん、現実はそこまで単純ではないので、行政サービスの値段が下がったとしてもそれがすぐに税金に跳ね返ってくるわけではありませんが、行政サービスの値段は安い方がいいに決まっている。

つまり、税金で賄われているもの、というのは基本的には値段を下げるべきものであり、将来的に下がっていく可能性がある、少なくとも払う側にとってはそのほうがいいということになります。

 

質を下げずに値段だけ下げる

ただ、もちろん質を下げて値段も下げる、ではあまり意味がなく、質はそのままで値段が下がれば言うことはありません。

そして、この質を下げないで値段だけ下げる、ということがITの普及とグローバル化によってどんどん進んできた、というのが2000年代以降の世界的な流れでした。

唯一、行政サービスが遅れ気味で、そのため政府はマイナンバーや電子政府によってそのあたりのコストをいっきに下げようとしているわけです。

みんなにとって税金は下がったほうがいい、政府は電子化によって効率化を進めようとしている、となれば、正規だろうが非正規だろうが公務員の賃金は下がって当然、という話なのです。

 

行政サービスのコストはゼロにするのが理想

電子化とAI化が進めば、本当に専門的で公共性の高い公務員以外不要となるのは目に見えています。

それ以外のところでも、例えば、名古屋市のゴミ収集は、昔は行政がやってましたがいまほとんど民間がやってます。これは民間に委託したほうがコストが下がるからです。

このように、行政サービスというものの本質を突き詰めれば、公務員の減少や賃金の下落というのは避けられない話なのですよ。

実際には、どこまで突き詰める勇気ややる気があるか、という問題もあるけれど構造的には「官製貧困」なんてのは起こって当たり前なのです。

 

最後に、この記事を書いたジャーナリストは扇情的に、

どうして、ただただまじめに勤労する女性が苦しむのか。

などと書いてますが、では、取材対象の人を食わすためにあなたの税金は増えていいの? という話。

というか、わたしもまじめに勤労してますが、けっこう毎日苦しんでます(笑)。苦しんでるので実家ぐらしです。

それに、こういった感情的で扇情的な文言で何かを言うと、このあいだの女子高生の貧困バッシングみたいなことが起こりうるので、好きになれない。

よって、今回の記事ではめちゃくちゃ冷静に冷酷に書いてみました。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所(名古屋)の代表。 人事労務と無関係に暮らしてたはずが、社労士だった叔父の病気を機に猛勉強。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」など専門誌への寄稿、中日新聞での短期連載など、メディアでの執筆実績も多数

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