解雇

解雇しやすい特区だろうと解雇されない人はされない

2013年9月25日

解雇しやすい特区が話題になっています。それがブラック企業特区とあだ名されるとは思いませんでしたが、それは別にいいでしょう。

いつものことですが、どうしてこの手の解雇規制の緩和に対してこうも反発する人が多いのでしょうか。

みんな解雇規制が緩和されると自分が会社をクビにされると思っているのでしょうか。

だとすると皮肉ですよね。解雇規制の緩和にはみなさん結構偉そうにというか、強い感じで反対していて、少なくとも「明日からの生活に困るので、お願いですから解雇規制の緩和はやめてください」って言ってる人もいない。それなのに解雇規制の緩和に反対するっていうのは、実はみなさんよっぽど自分に自信がないんですね。そんなに強気なら、どんなに解雇規制が緩和されても自分は会社に残れるから大丈夫くらい言ってくれてもいい感じがしますがどうなのでしょうか。解雇しやすい特区だろうと解雇されない人はされないわけなんですから。

だいたい、明日から一定の金銭を支払えば解雇が自由になる社会になったときに、今の会社の状況や自分の立場や職務を冷静に客観的に考えてみたときに、今すぐ自分がクビになるだろうって予想できちゃう人って、解雇規制が今のままだろうと緩和されようと相当やばいと思うんですがね。

まあ、こうして反対派の感情を煽るようなことを半ニヤケで書き続けるのも悪くないですが、でも、正直な話、解雇規制の緩和というのは労動者にとっても決して悪くない話だと思いますよ。

皆さんの会社にもいるでしょ? うだつの上がらない同僚や上司や部下。挨拶もろくにしないし仕事も遅いのに給与は自分より上だったりでイライラさせるやつ。でも、そんな連中でも現在の日本では「解雇権濫用法理の濫用」とも言えるような状況によって、まず解雇されないわけです。でも、解雇規制が緩和されれば、彼らともう顔を合わすこともなくなるかもしれない。悪くないどころかこんなに良い話はないじゃないですか。

うだつの上がらない連中を解雇したって、会社の仕事の総量が減るわけではないですから、会社は当然新しい人を雇います。ほら、あなたの憧れの大企業がそういう連中を解雇したら、新しく雇うのはあなたかもしれない。今だってそういう状況が全くないわけではないかもしれませんが、解雇規制が緩和されれば解雇の頻度が増すので、そういったチャンスは確実に増えます。

そうして新しい人が入ってくると、うだつの上がらない連中がいなくなってせいせいしていた社員も安心できませんよね。新しく入ってくる社員は、少なくとも以前に解雇された社員以上の水準のはずですから、うかうかしていると逆に自分が解雇の対象にされるかもしれない。

でも、うだつの上がらないと言われて解雇された社員にしても慌てる必要はありません。だって、あなたと入れ違いで大企業に入った社員の前の会社には当然穴が1つ空いているわけですからそこに収まることができる可能性がある。それどころか、優秀な人は今いる会社に満足できないと思えばどんどん辞めていくから、穴はいくらでも空くわけです。当然、こうした自主的な退職以外にも解雇によっても穴は次々空きます。

世知辛いように思えるかもしれませんが、でも、それって当たり前の話じゃないですか。野球でもサッカーでも、どんなに若くても、あるいはどんなに過去に活躍したベテラン選手でも、年とともに十分なプレーができなくなれば戦力外通告されるし、私のような士業にしても、多数の同業者がひしめいていてお客さんに十分な仕事ができないと判断されれば契約を切られて他に取られてしまうんですから。

個人的には解雇規制の緩和に反対する人っていうのは、競争社会で生き抜く気のない連中にしか思えません。経営者や企業の人事部の方は、自分の会社にもしそういう社員がいたら今後に備えて密かに「リストアップ」しておいたほうがいいんじゃないですか。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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