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労務管理 就業規則

労働者の犯罪行為に対する懲戒処分について

2016/04/20

秋田書店が雑誌の読者プレゼントで当選者数を水増ししていた事件ですが、さらに驚きなことに会社側はそのことを告発した女性社員を懲戒解雇していたようですね。

当選者水増し「おかしい」と訴えた女性を解雇

この件に関しては、かなり詳細な考察が山本一郎氏によってなされていますが、読んでいると秋田書店の迷走ぶりが伺えて面白いです。

例えば、女性労働者を解雇した理由として、秋田書店は当初「解雇と不正は別問題だと考えるため、コメントは差し控える」と答えていました。しかし、その後の社告では「解雇の理由は、元社員が賞品をほしいままに不法に窃取したことによるもの」としています。

でも、社員がプレゼントを盗んじゃったら商品を当選者に発送できないわけだから無関係と言い切るには無理がある。それに「商品をほしいままに不法に窃取した」ことと「読者プレゼントの当選者数の水増し」が無関係なら、水増ししてたのはやっぱり事実なのね、って感じです。

うーん、秋田書店の立場はかなりよろしくなさそうです。

でも、仮に秋田書店の言い分が本当で、女性労働者が読者プレゼントを盗んでいたら懲戒解雇は有効とみなされるのでしょうか。

結論から言ってしまうと、その可能性はかなり高い。懲戒解雇どころか一般解雇もろくにできない日本では珍しいくらいに。もちろん、その事実を証明するような証拠がしっかりそろっている必要がありますが。

犯罪行為を犯した労働者を解雇するなんて当たり前じゃん、と思う人もいるかもしれませんが、現実にはなかなかそうは行きません。

特に、横領のように社内での犯罪行為ならともかく、社外の場合はかなり話が違ってきます。

この典型的な事件が横浜ゴム事件で、労働者が泥酔の上、他人の家に不法侵入し罰金刑にも処せられたため、会社は労働者を懲戒解雇しましたが、裁判所はそれを不当解雇と判断しました。私はまったくお酒を飲めず、酔っ払って人に迷惑をかけてる人間を見ても「酔っ払ってるからしょうがない」なんて寛容な心など一切持ち合わせていない人間のため、非常に腹立たしい判決ですが司法の言うことは絶対なためしょうがありません。

また、鉄道会社に所属する労働者が電車内(労働者の所属する鉄道会社とは別の電車)で痴漢行為を行い執行猶予付きの有罪判決を受けた事件(小田急電鉄事件)では、会社の懲戒解雇自体は有効と認めたものの、退職金の全額不払い処分に関しては全面的には認めず、本来の額の3割を支払うことを会社に命じています。

なぜこうした判断がなされるかといえば、会社外のことというのはあくまで労働者のプライベートな時間であって会社の預かり知らない時間だからです。会社の預かり知らないところで行ったことを会社が裁くのはいかがなものか、ということですね。

なので、いくら労働者が警察に捕まったからといっても、すぐさま懲戒処分を行うというのはなるべく避けるべきで、少なくとも未決期間(判決が下るまでの期間)の間は休職扱いにするなど慎重な対応が求められます。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。