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書評

わたしが富士山に登らない理由と【書評】世界遺産にされて富士山は泣いている

2016/08/30

去年に買って未だに実践で使ってない1人用の登山テントを泣かしている、社労士の川嶋です。

登山テントを買うくらいなので、一応趣味の1つに登山があるのですが、一昨年の秋に登って以来、最近はすっかりご無沙汰です。

登山を始めたのは18の時、河合塾COSMOという、高認(当時は大検)の予備校兼フリースクールみたいなところに通っていた時でした。

COSMOでは近場の鈴鹿山脈以外にも、南アルプスの仙丈ヶ岳や甲斐駒ケ岳、北アルプスの白馬岳など結構本格的なところにも登り、大学辞めた後には短い間でしたが南アルプスにある日本で2番めに高い山、北岳の山小屋でアルバイトをしていたこともあります。

そんなわたしですが、富士山には一度も登ったことがありません。

 

だって、富士山登ったら富士山見えないじゃん

一番の理由は、面白い山じゃない、と、COSMOで一緒に山を登っていた登山のベテランの方々が仰っていたから。

で、いくつかの山を登った後だと、確かにそうなんだろうな、と想像がつくようになりました。

富士山の登山開始の起点となる五合目はいきなり森林限界で、鈴鹿の1000m級のような森林の中を行く楽しみもない。

それに富士山の形状は綺麗な円錐形。

見た目としてはそれはそれはいいんですが、独立峰な上での円錐形なので、稜線、いわゆる尾根がない。

登山というと、ずっと登り坂を歩くイメージの人もいるかもしれませんが、実は稜線まで出てしまうと比較的なだらかな事が多く身体的な負担もそれほど無い上、遮蔽物がないので視界もいい。

稜線を歩くというのは登山している中で一番気持ちのいい瞬間の1つなのにそれがないと想像できるわけです。

で、おまけに頂上登っても、日本アルプスの山と違って、頂上から富士山見えないし(笑)、とか想像すると、別にいいや、他の山にしよう、と思えてしまうのです。

 

富士山の世界遺産登録は自然遺産ではない

そんな富士山について、KindleUnlimitedでこんな本を読みました。

新書好きとしては、新書がそこそこあるKindleUnlimitedはありがたいです。

富士山が世界遺産に登録されたのが2013年、この本はその翌年の2014年に出版されたもの。

本書を読んでまず驚いたというか、自分が無知だったなあと思ったのが、富士山の世界遺産登録は自然遺産ではなく文化遺産であること。

つまり、屋久島や白神山地ではなく、法隆寺や姫路城と同類というポジションなのです。

富士山がゴミで汚い山であることや、著名なアルピニストである筆者が、富士山が世界遺産に登録されるかなり以前から、富士山の清掃活動に力を入れていることは以前から知っていました。

なので、その関連で自然遺産登録されなかったのかと思ったらそういうわけでもなく、単に世界的に見て珍しい山とは言えないというのがその理由だそうです。

ただ、地方自治体などの関係者はもともと富士山を自然遺産として登録しようと活動していたものの、それが無理とわかった段階で文化遺産登録を目指すという、いかにも世界遺産登録ありきの姿勢を筆者は批判しています。

 

富士山の世界遺産登録は条件付き

2013年に世界遺産登録された富士山ですが、この登録はあくまで条件付き。

登山者数が多すぎることに山へのダメージや、登山に向かう人達のマイカーによる環境汚染、富士山の周りの富士五湖などの周辺環境の開発が進むことによる景観の破壊といった点が問題視されていて、これらを解決しないと、最悪登録を抹消される可能性もある。

そして、富士山の世界的なネームバリューの高さを考えると「見せしめ」的に登録を抹消される可能性は十分ありうる。

しかし、こうした問題を解決しようにも、富士山をめぐる利権の背景は非常に複雑で、まず、富士山は静岡県と山梨県の県境にあり、富士山については明確な県境がないことも有名です。

また、富士山は富士箱根伊豆国立公園という国立公園の一部ではあるものの、その頂上は浅間大社の私有地。

今回、富士山の世界遺産化を強烈に後押ししたのは世界遺産化による利益を得ようとした大手広告代理店の電通などなど。

本来の期限は、今年の2月までだったのですが、地元等が施した対策ではイコモスは納得せず、辛うじて課題解決の期限が2018年に延長されている状況です。

 

それでも問題解決の糸口がないわけではない

繰り返しになりますがわたしは富士山に登ったことはありません。

けれど、不思議なもので、登山している時って必ず富士山を意識します。

稜線に出たら富士山見えるかな、頂上から富士山は見えるかな、とか期待して、見られれば嬉しいし、天気が悪くて見られなかったりすると残念だし、

そうやって、いつもいつも外から見ていた富士山ですが、今回、本書でその内情を知ってしまうと、富士山を見た時に本書のタイトルの通り、泣いているように見えてしまうのではないかと心配になります。

ただ、富士山に関する解決の糸口が全く無いかといえばそんなことはなく、例えば、三重、和歌山、奈良の三県をまたがる熊野古道が世界遺産としてきちんと認められていることは、人同士の利権の問題は解決できないことではないことを示しています。

また、現在、富士山へマイカーで向かうための道路であるスバルラインを登山鉄道化する構想もあり、これが実現すれば、登山客の制限や、マイカーによる環境汚染解決にもつながる。

 

富士山が世界遺産であるかどうか、正直わたしにとってはどうでもいいし、著者のスタンスも世界遺産にこだわりはないとしています。

一方で、2018年に富士山が世界遺産から外れれば大恥をかいて、責任を取らされる人や大損をこく人たちが山ほどいるのは想像に難くないので、そういった方向から世間による圧力をかけていくことが、結果的には富士山の環境を守ることに繋がるのでは、とも思います。

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登山中にあまり写真を撮ってこなかったので、画像をぱくたそさんから借りることになりました。無念

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。