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労務問題(時事) 残業

労働組合が過労死予防に消極的な理由

2016/04/20

先日の産経新聞にこんな話がありました。

労組は実際に過労死やそれに近い事件が起こるとわんわん騒ぐけど、そうした事件が起こらないようにするための過労死を予防するような活動には消極的だ、という内容です。

批判はもっともですが、でも、まあ、仕方ないんじゃないですかね。

一口に労働組合と言ってもその種類は様々ですが、大きく分けると企業内労組とユニオンと呼ばれる合同労組の2つに分かれます。

企業内労組とは、文字通り会社内の社員で組織された労働組合のことで、日本的雇用の特徴の1つとされてきました。一方のユニオンは、1つの企業に縛られず企業の枠を超えて労働者を支援する労働組合のことです。

上の記事を見る限り、どちらも過労死対策に消極的なのは同じのようですが、その理由はそれぞれに違うと考えられます。

まず、企業内労組の方ですが、彼らが過労死対策に消極的な理由は簡単です。要は、彼らも会社の社員に過ぎないから。

労働組合法では禁止されていますが、組合員の中には、あまり労働組合の活動を積極的に行うと昇進に影響したり解雇されるのでは、という思いを持つ人は少なくありません。それに会社の社員故に、企業の内情もわかっていますから、そのために積極的な組合活動が行えないこともあるでしょう。また、その企業の企業文化に染まりきっていて、会社の常識が世間の非常識になっていることに単純に気がついていないのかもしれません。

そうした企業内労組の問題を端的に表したのが、過労死した労働者の妻が「労働組合」を訴えた「すかいらーく労組」事件でしょう。

 

一方、合同労組やユニオンの場合はどうでしょうか。

ユニオンというのは、ありとあらゆる会社の労働者が「個人単位」で加入してきて、その個人単位で加入してきた労働者の要望に応えるために会社と団体交渉を行うことが多いわけです。しかし、その性質上、ユニオンが会社と団体交渉する内容は、解雇や雇い止め、賃金カットなど、個々の労働者の問題が多くなります。

もちろん、長時間労働やサービス残業の相談もあるのでしょうが、これらを「個人単位」の問題として解決しようとなると「未払い残業代」の問題となります。また、ユニオンはいくら労働組合として会社との団体交渉権を持つとはいえ、会社からしたらあくまで部外者です。

そうした個人単位の問題を扱う部外者が、会社全体の企業文化に根付く問題である「過労死」やその予防の問題に関わりを持つことはなかなか難しいのでしょう。

また、ユニオンの中には月々の組合費だけでなく、交渉が成功した場合の成功報酬を求める団体も少なくありません。未払い残業代なら成功報酬を得られますが、過労死予防のための団体交渉ではそれも得られないので、そういった活動を行うインセンティブもあまりないのかもしれません。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。