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年金 社会保険

なりふり構わぬ日本年金機構

2016/04/20

日本の公的年金制度が崩壊寸前なのはすでに公然の事実ですが、社労士としては口が裂けても「社会保険料なんて払わなくてもいい」とは言えません。社労士法の15条には「不正行為の指示等の禁止」が明記されていますからね。

ただ、社労士は厚労省の犬でも社会保険警察でもないので(厚労省から資格をもらっていますが)「社会保険料を払え」とお客さんに命令する義務や権限はありません(社労士の業務はあくまで事務手続きの代行やコンサルティング)。なので、「払ってください」「払わないとこういった不都合がありますよ」ぐらいしか言えません。

「言えません」というか、最近の厚労省や日本年金機構の動きを見ているとそれ以上のことは「言いたくない」というのが正直な本音です。

例えば、来年の4月より国民年金の保険料の前納(いわゆる先払い)期間が今までの最長1年が、2年に延長されます。保険料の前納を行うと保険料の額が割引されます。現行の1年間だと3780円ほどですが、今回の改正で2年分を一気に前納すると14360円の割引になります。

お得ですねえ、と言いたところですが2年間の保険料を前納するためには約36万円が必要です。これを一気に払える人ってなかなかいませんよね。それに、現在の公的年金の財政危機を見てしまうと、年金機構や厚労省が36万というキャッシュがどうしても今欲しくてその餌に割引をやっているようにさえ見えます。その姿はまるで潰れかけの会社の必死の資金繰りか、あるいは銀行の貸し剥がしのよう。

また、6月19日に主婦年金救済を主とした改正国民年金法が参院を通過しました。主婦年金というのは俗称で法律にそんな言葉はなく、今回の改正で実際に救済されるのはいわゆる第3号被保険者(サラリーマンの夫を持つ専業主婦)の方々です。

こちらも、救済ねえ・・・、というのが私の正直な感想。

というのも、最近、第3号被保険者の一部に対して日本年金機構から、被保険者期間の確認を求める書類が届いているからです。

今でこそ健保の被扶養者と国年3号の取得の届出は同一の書類で行うことができるため、2つの取得日が異なるということはまずありませんが、以前はそうではなく、それぞれ別々に取得届を提出する必要がありました。そのため、両方の取得日が前後することは珍しくもなんともなかったわけです。

で、日本年金機構の方では今、この健保の被扶養者の取得日と国年3号の取得日の食い違いのある被保険者を主な対象として被保険者期間の確認と訂正を行なっているようなのですが、驚かされるのは、その食い違いがあると、それを理由にそれまでの3号期間の全てを1号期間にする、と書類には説明されているのです。

法定及び申請免除以外で過去の未納分の保険料を支払う場合、時効があるので2年間までしか遡って保険料を支払うことはできません。しかし、対象者の多くは3号被保険者になってからの期間は2年をとうに超えており、今更1号にされてはほとんど保険料を収めることができず、もらえる年金額も下がってしまいます。

で、そんなあなたに朗報ですよ、というのが今回の改正なのですが、どこかマッチポンプな感じがしませんか?

健保の被扶養者と国年3号の取得日に食い違いのある人に片っ端から訂正を求め、1号になる場合は過去10年間まで遡って保険料を収められますよ、ってことですからね。事情をきちんと年金機構に説明すれば、3号期間を1号期間にされることはないようですが、こうした動きからも年金機構及び厚労省の保険料回収の必死さが垣間見えます。

先にも述べたとおり、社労士制度を管理しているのは厚労省で、年金機構の管轄も実質的には厚労省なので、社労士と年金機構は兄弟みたいなものですが、今の日本年金機構は兄弟ながら他人のふりをしたくて仕方ありません。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。