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労務管理 残業

みなし残業ってなんですか? それは固定残業って言うんですよ!

2016/04/20

もしも、私が誰かにみなし残業について訊かれたら、表題の通りに聞き返すでしょうね。

一体なんなんですかね、みなし残業って。そもそも「残業とみなす」って何を残業とみなすんですか? 所定労働時間の一部を残業とみなしてくれるんだったら労働者としてはこんなに有難い話はありませんが、どうもそうじゃないみたいです。

で、みなし残業という言葉が使われる場合の文脈から判断するに「どれだけ残業しても残業代の額が同じ」というのを「みなし残業」と言ってるようなのですが、うーむ・・・(社労士的には怖い怖い)。

まず、はっきり言っておきたいのは労働基準法に、こうしたみなし残業という制度は存在しないということ。

あるのは「みなし労働時間制」と呼ばれるものです。これは、どれだけ残業しても「所定労働時間働いたとみなす」という制度で、例外はありますがそもそも残業代すら出ません。ただし、仕事が早く終われば、労働時間が所定労働時間よりも短くても所定労働時間働いたとみなされるという点で、労働者にも利点があります。

また「どれだけ残業しても残業代の額が同じ」という意味では「固定残業代」という方法で残業代を支払う企業もあります。企業側が予めひと月の残業代を30時間なら30時間分とし、結果としてその月の残業時間が30時間を上回った場合も30時間分しか残業代は支払われませんが、逆に下回った場合でも30時間分の残業代が毎月支払われるため、みなし労働時間制同様、労働者にも利点があります。

しかし、どちらの制度の場合も実際に導入するとなると、運用上の課題は少なくありません。

「みなし労働時間制」の場合、大前提として会社が労働者に対して指揮命令を行うことが適切でない業務でのみ運用が可能です。新商品の研究や開発といった業務なんかはその代表的なものですね。また営業などで会社外で業務を行う場合などにも使用可能ですが、どちらにしても会社からの指揮命令があると認められると残業代支払い義務が発生します。

また「固定残業代」の場合、毎月の残業時間の平均が50時間なのに、実際には30時間分の固定残業代しか支払っていないというような扱いは違法です。また同じ残業時間でも深夜時間帯に残業する場合、残業代の額が基本給の1.5倍となりますので、その点にも配慮しておく必要があります。

企業が「みなし労働時間制」や「固定残業代」を導入するというのは、つまるところ人件費削減が目的です。そのため上記のような正しい運用方法を取らずに、形だけでこれらの制度を用いる場合が多く、それゆえに、どちらの制度でもひとたび労使間でトラブルとなり訴訟沙汰となると会社が負ける可能性が高いのです。

「みなし残業」というのは結局「みなし労働時間制」と「固定残業代」がごちゃ混ぜになった言葉のようですが、どちらも会社からすると訴訟リスクの高い制度であることは上に述べたとおり。なので、労働者が単に勘違いのような形で「みなし残業」という言葉を使っているぶんには構いませんが、会社が自社の制度として意図して導入しているとなると要注意です。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。