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労務問題 就業規則

社内イジメで会社が負うリスクとは

2016/04/20

厚労省の発表によると平成24年度の個別労働紛争の件数は106万7210 件で、前年度と比べて3.8% 減となりましたが、依然として高止まり。

興味深いのは個別労働紛争の原因の1位が、これまでトップだった「解雇」を抜き「いじめ・嫌がらせ」となったことでしょう。大人になってまでいじめ被害の相談をしなければならない被害者の方々の心痛察するにあまりありますが、一方で大人になってまで誰かをいじめるような人間が世の中にいるということに対する憤りや情けなさも感じてしまいます。それに、これを機に、中学生や高校生のいじめをことさら問題にするのはやめたほうがいいかもとも思います。大人の間で問題になるようなことが子供の間で問題にならないはずがないのですから。

社労士の実務的な話をすると、この社内いじめというのは会社からするとかなり厄介です。社内いじめは当然のことながら会社の生産性を下げますし、それが社外に漏れれば会社の評判もガタ落ちになります。また、いじめを機に被害者や遺族が裁判を起こせば使用者責任を問われることになります。例えば、誠昇会北本共済病院事件(さいたま地裁 h16.9.24)で、裁判所はいじめの行為者に1000万円の慰謝料の支払いを命じただけでなく、病院側にも500万円の支払いを命じる判決を下しています。

また、被害者が自殺しなかった場合でも、いじめを機にメンタルヘルスを発症するリスクもあります(メンタルヘルスを発症した上で、自殺するケースももちろんあります)。現在、監督署などの行政はメンタルヘルスに関してかなり寛容(というか、臭いものに蓋なのか)で、結構簡単に労災認定してくれます(これは健康保険の傷病手当金申請なんかもそうです)。労災認定されるということは、会社からすれば安全配慮義務違反で民事訴訟を起こされるリスクが生まれるということでもあります。

もちろん、社内いじめは訴訟リスクだけを考えて防止するようなものではありませんが、中小企業からしたら上記のような額の慰謝料の支払いは経営を傾かせる原因に十分なります。

しかし、だからといって、いじめの加害者である労働者を解雇するのはよっぽどのことがない限り難しい。また、大きな会社なら配転命令などで被害者と加害者を分断することは可能ですが小さな会社だとそれも難しい。もちろん、間違ってもいじめられている被害者である労働者を退職に追い込むようなことを考えてはいけません(会社の使用者責任だけでなく行為者責任も問われることになります)。

となると、会社が打てる手、というのはいじめが発生した時のことを想定した就業規則を予め作成しておくことでしょう。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。