時事のよもやま話

そういうあなただってブラック労働者なんじゃないの?

2013年6月12日

私はブログでブラック企業のことでいくつか記事を書いていますが、そのおかげか「ブラック社労士」というワードで検索すると、私のブログがかなり上位でヒットするようになってしまいました。同義語で「ブラック士業」というのもあるみたいですが、要は企業や顧客に違法な行為を入れ知恵する士業のことを言うみたいです。

まあ、社労士という職業は労働者側からしたらブラックに見えるのは仕方ないのかもしれません。事務所にもよりますが、就業規則を作ったり、使用者からの相談を受けたりと、基本的に社労士は企業の味方なわけですからね。

だがしかし、ですよ。すべての社労士や他の士業が潔白とは言いません。というか、他のことは知りませんが、一般の労働者からみたらブラックに思えるような社労士業務って、だいたい法律の範囲内で収まってるもんですよ。だって、会社が下手な方法で解雇や減給行なって裁判になれば確実に会社は負けるわけです。なぜなら、それは法律や判例に即した手順に則っていないから。だから社労士はそうはならないように上手な解雇方法や減給処分のアドバイスをするわけです。それをブラックって言う方こそ、会社の違法な懲戒処分に対して裁判を起こしてやる気まんまんのブラック労働者なんじゃないですか?

そもそも、ブラック企業やブラック士業を非難できるほど、みなさんはホワイトな労働者なんですかね? まさか、裁判を起こしたり、能力不足で会社に迷惑をかけてなかったり、その他会社や取引先で何か問題を起こしてなければブラック労働者じゃないなんて思ってませんよね? 特に、ホワイトカラーの労働者の皆さん。

例えば、事務仕事の最中、同僚とべちゃくちゃ仕事と関係のない話をしてませんか? あるいは、会社のPCから仕事と関係のないHPを見たりしてませんか? ヤフーだったりグーグルだったり2chだったり。あるいはあたかも取引先と連絡してますみたいな感じでスマホを開いてツイッターやったりフェイスブック見たりしてませんか? まさかとは思いますが、ゲリラダンジョンが来てるからって、トイレに篭ってパズドラやったりとかしていませんよね?

え? それぐらいいいじゃないか、ですって? ならば、一度どこかの工場見学に言ったほうがいいですよ。彼らは工場の流れ作業中に私的な目的でPCもスマホ見ません、というか見られません。職種が違うというのは言い訳になりません。工場労働者もホワイトカラーもどちらも同じように労働時間を基準にお金をもらっているんですから。にもかかわらず、ホワイトカラーは労働時間中に行う必要のない行為中も合わせて会社から給与をもらっているわけですよ。おかしくないですか? おまけに、そのせいで就業時間中に仕事が終わらなかったら会社は残業代まで払わないといけない。しかも、会社に許可無く残業して残業代をせびろうなんて魂胆なら、ブラック根性丸出しですよ。労働時間というのは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」を言うんですから。指揮命令のない残業なんて、会社が給与を払う必要もなければ、労働者だって働く必要のない世の中から全く不要なものなのです。

・・・でも、事務職の職員に工場労働者のような働き方を強要するのは、会社の雰囲気が悪くなって逆に業務の効率が悪くなりそうです。私の事務所でそんなことしたら今の事務員は全員辞めて、求人しても誰も来てくれないか、来てもすぐ辞めてしまうでしょう。

要するに工場労働者だろうとホワイトカラーだろうと同じ基準で労働者を保護しようとういう労働基準法自体に無理があるわけです。労働基準法自体に無理があれば、会社も労働者も士業もそれを順守する側にも無理が出てくるのは当然。

そうした状況の解決方法の1つが、最近になってまた話題となって、おまけに色々と勘違いされているホワイトカラー・エグゼンプションなのですが・・・、過去の記事にもあるように今の日本でそれを導入するのは私は反対です。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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