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副業 労働法

ダブルワークの落とし穴

2016/06/18

アベノミクスだなんだといっても、経済状況の好転を実感としてもてる日本人というのは今の段階では少数なのではないでしょうか。まあ、それはリーマンショック以前のいざなぎ以上と言われた好景気の時もそうでしたが。

もちろんそうした状態では正社員だとしても昇給はなかなか望めず、残業代欲しさに残業しようとしてもさせてもらえない、あるいは単にサービス残業にしかならなかったり。だからといって、いざ転職市場に出て行こうとしても、今より給与が上がる保証は全くなく、失業リスクのほうが高いぐらいです。

それでも、各々の事情、例えば子供の養育費のためや家のローンのためなどで、お金を今より稼ごうと思うと、本業のほかに副業をはじめるぐらいしか手はありません。

ただ、副業といってもいろいろあります。たとえば、今風の副業と言えばブログです。私のブログにはありませんが、ブログにアフィリエイトと呼ばれる広告をたくさん貼り付けて、それをクリックしてもらうことによりお金がもらうわけです。

こういった副業はブログ内容があまりに公序良俗に反するような場合を除き(アクセス数が収入に直結するため、かなり酷い内容のブログも多いのですが)、会社から文句を言われるようなこともないでしょう。たいてい、この手のブログ(アフィブログ)の管理者は匿名ですしね。

しかし、副業としてほかの仕事をに就く場合は話が変わってきます。この場合の仕事に就く、というのは自分で事業を起こす場合も本業以外の雇い主に雇われる場合の両方を含みます。

どちらの場合も問題になるのは秘密保持義務および競業避止義務です。ようするに本業の機密にかかわることを漏らしてはいけないし、本業と同業他社となる会社で働くもしくは会社を起こしてはいけないということです。本業で得た情報を使って起業されて顧客を奪われたら会社としてはたまったものではないし、同業他社に情報を流すのはそもそもスパイ行為なので当然ですね。よって、ほとんどの会社は就業規則で労働者にこれらを義務として課し、違反した場合は懲戒処分を行います。

ただ、気を付けなければいけないの労働者には職業選択の自由が保障されていることです。なので、いくら就業規則等で義務付けても、どこまで効力を持つかはケースバイケース。あまりに厳しかったり、実態に即していないような場合、無効とされることもあります。

自分で起業する場合は上記のような問題を解決できれば、他はそれほど問題になりません。

しかし、本業以外で他の雇い主に雇われる場合、雇われる側以上に雇うほうが気をつけねばならないことがあります。

現在の労働基準法では1日8時間を超える労働を労働者にさせる場合、36協定を結んだ上で1時間当たりの給与の0.25倍となる時間外手当を加算して支払わねければなりません。いわゆる残業手当のことですが、この残業手当、実は1日の間に雇い主が変わっても8時間以上働いていれば労働者はもらうことができるのです。

例えば、お昼のあいだ8時間サラリーマンとして働いたあと、夜に4時間どこかの居酒屋でバイトをしたとします。この場合、労働者は居酒屋では4時間しか働いていないにもかかわらず、4時間分の時給プラス時給の0.25倍の時間外手当ももらえるわけです。使用者からすると「ウゲゲッ」な話ですが事実です。ちなみにこの時間外手当を支払う義務があるのは8時間を超えた時点で労働者を働かせている側の会社です。

どうしてこのようになっているかといえば、実態としては同じ会社で同じ業務を行っているにもかかわらず、法定労働時間である8時間を超えたらほかの会社の社員扱いにして時間外手当を支払わない、ということを防ぐためです。

この手の時間外労働手当は、秘密保持義務および競業避止義務に比べるとあまり問題になっていません。労働基準法の規定がこのようになっていることがあまり知られていないからか、もしくは複数の仕事やアルバイトを掛け持ちするのが労働法に疎いフリーター層であることも関係しているのかもしれません。しかし、いざ問題となれば会社は多額の時間外労働を請求されることになるため、会社は労働者の採用時、就業規則等で対策を考えておく必要があるでしょう。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。