A9 タイムカードの不正は懲戒処分の対象となりうる重大な違反です
タイムカードの不正は会社への重大な裏切り
労働基準法では、労働時間を元に賃金を支払うことが基本となっています。
タイムカードはその労働時間を記載するものである以上、これに対して不正な行為を行うことや、改ざんすることは詐欺行為にほかなりません。
判例では懲戒解雇が認められた事例も
判例でも、常懐学園事件では、タイムカードの不正打刻に対する懲戒解雇の有効性について「労使間の信頼関係を破壊する道徳的不正」と述べた上で、懲戒解雇は有効と判断しています。
日本の裁判所は懲戒解雇に対して非常に厳しい立場を取ることが多く、めったに懲戒解雇の有効性が認められないことを考えると、これはかなり異例なことです。
このような背景には、「労働時間とは使用者の指揮命令下にある時間」と判例等では示されているものの、監督署の調査や裁判所では結局タイムカードを重要な証拠として扱っているから、という点があります。
行政や司法が信頼しているものを改ざんするとはけしからん、というわけです。
もちろん、行政や司法だけでなく、会社や使用者にしても労働者が誠実にタイムカードを打刻することを信頼して、それを元に給与計算をしているわけですから、タイムカードの不正打刻は決して許されるものではないでしょう。
タイムカードの不正をいかに暴くか
では、会社としてはどのようにタイムカードの不正を暴いていけばいいのでしょうか。
まず、不正を行ったという証拠がなければ、第三者にそれを示すことは出来ないので、不正の疑いがある場合はきちんとその現場を押さえる必要があります。
タイムカードの不正を暴く方法としては、タイムカードの打刻場所に監視カメラを置く、他の労働者から聞き取りをしたり協力を得る、パソコンの使用履歴など、他の記録と照らし合わせることなどが考えられます。
また、一回の不正では、たまたま間違えたと逃げられる可能性も考えられるので、最初は指導に止め、それでも繰り返し行うようであれば、懲戒処分等を行うほうが確実です。
加えて、会社はそもそも不正をするのが難しいような勤怠管理システムを導入し、不正を防ぐことにも注力する必要があります。