A5 社内行事や社員旅行への参加が強制であれば労働時間になります
社内行事や社員旅行の性質
福利厚生という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。福利厚生とは「企業が提供する給与等以外の従業員向けのサービス」となります。
一般に、社員旅行は福利厚生の一環であるとされています。
また、社内行事については、会社によって何を行うかは様々とはいえ、運動会やバーベキューなど、社内の親睦を深めるような内容であれば、やはりそれは福利厚生の一環といえます。
福利厚生の一環、ということは、基本的にはそれらを行っている時間は業務を行っていないことになります。
そのため、原則的には、社内行事や社員旅行中の時間は、無条件で労働時間にはならない、ということになります。
しかし、これには例外があります。
社内行事や社員旅行が労働時間となる場合
というのも、社内行事や社員旅行については、参加が強制の場合があるからです。
参加が強制であれば、社内行事や社員旅行中であっても、従業員は使用者(会社)の指揮命令下にあると考えられます。
そのため、この場合の社内行事や社員旅行の時間は労働時間として扱わなければなりません。
参加が任意なら労働時間にはならない?
では、参加が任意であれば問題ないのでしょうか。
こちらも実は、必ずしもそうとは言いきれません。
というのも、研修や研修旅行のように、参加しないことで実質的に労働者が不利益を被る可能性が高い場合、実質的に社内行事や社員旅行中の時間は「使用者の指揮命令下」にあるとされ、これらの時間は労働時間と判断されるからです。
まとめると、社内行事や社員旅行が労働時間にならない場合というのは、その参加が任意で、かつその中身も社員同士の親睦を深めるなど業務と関係のないものである必要があるということです。
労働時間となる場合の賃金にも注意
参加が強制、もしくは事実上の強制となる社内行事や社員旅行を行う場合、それらの時間中は賃金が発生するので注意が必要です。
特に、こうした行事は業務のある平日ではなく休日に行われることが多いと思われるので、時間外手当や休日手当にも気をつける必要があります。