A1 労働時間とは労働者が会社の指揮命令下で業務を行っている時間を言います。よって、原則、使用者の命令開始から終了までが労働時間となります
労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下にある時間
労働時間を考える上で非常に重要な考え方が「使用者の指揮命令下」にあるかどうかです。
いくら業務を行っていたとしても、会社の望まない、使用者の指揮命令下にない時間というのは労働時間とは扱われれません。
そして、労働時間と認められない時間に労働者が働いたとしても、その分の賃金を会社が支払う義務はありません。
これはAmazonから頼んでもない商品が届いても、その分のお金を払う義務が消費者側にないのと同じです。
所定労働時間
さて、普通、会社では、労働者が「この時間からこの時間まで働かなければならない」という「所定労働時間」が定められています。
この時間が、使用者の指揮命令下にある時間であることは疑う余地はありません。
一方で、所定労働時間は労働者が働いて賃金を得ることを保証されている時間でもあるため、会社側がその時間を短縮すること(つまり、始業時刻や終業時刻を変更すること)は労働契約や就業規則に定めがない限りできません。
「労働時間」が問題になる時間
よって、労働時間が問題となるのは、基本的には所定労働時間以外の時間となります。
言い換えると、所定労働時間以外に働いた場合に、それが労働時間となるか(時間外労働になる)かどうか、ということです。
繰り返しになりますが、労働時間になるかどうかは「使用者の指揮命令下」にあるかどうかで変わります。
明確に「残業しろ」といった場合はもちろんのこと、必ずしも会社側が明確に残業しろ、と言っていない場合でも、明らかに残業しないと終わらない業務量を与えておいた上に、早く帰れとも言わない場合などは「黙示の指揮」があったと判断されることがあるので注意する必要があります。