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【EUでは】2017年からは助成金も出る予定の勤務間インターバル制度とは?【常識】

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少しあいだが空きましたが、参院選後を見据えた労務政策、最後は「勤務間インターバル制度」です。

勤務間インターバル制度とは、終業時間から次の日の始業時間までのあいだ「これだけの時間は必ず休ませなさい」というもの。

例えば、始業が9時、終業が18時という会社があったとします。

しかし、仕事が忙しく残業したせいで帰りが深夜の2時となってしまった場合、次の始業時刻まで7時間しかありません。

7時間ではろくに体を休めることも、十分な睡眠時間を取ることも難しい。労働者の健康上のリスクが高まることになります。

なので、本来なら、翌日の始業時間を遅らせてでも「11時間」ぐらいはしっかり休んだほうがいいはず。

「勤務間インターバル制度」とはまさにそういう制度で、終業時間から始業時間までのあいだを一定の時間、必ず休ませなさいというもの。

つまり、インターバルの時間を今言った「11時間」とした場合、先程の例で上げた「始業が9時、終業が18時」の会社で深夜2時まで仕事をしていた場合、翌日の始業時間は「2+11」で「13時」から、ということになるわけです。

 

勤務間インターバル制度は実質的な労働時間制限

現在の労働時間規制では、実質的には労働時間の上限がありません。

法定の1日8時間、1週40時間という規制は、労使間で36協定を結べばそれ以上働かせられます。もちろん36協定にも行政が定める限度時間という制限がありますが、さらにその例外として特別条項をつければ、年6回までその限度時間すら超えて働かせていい、ということになっていました。

例外の例外による例外のための法規制だったわけです。

しかし、勤務時間のインターバル制度が導入されると、1日の労働時間は実質12時間に規制されることになります。24からインターバルの11と休憩時間の1を引いて「12」です。

もちろん、業務の繁閑によって、深夜まで勤務が続く場合、労働時間が14時間と15時間になることもあるでしょう。それでも、インターバル制度の場合、翌日やその翌日の始業時間がずれていくだけ。

どこかで調整しないと、始業時間が夜中になってしまうことがありうるので、たとえ、一時的に12時間以上働くことがあっても、トータルで見たら、12時間前後に落ち着くことになります。この辺の詳しいことについては後述します。

 

EUでは常識、日本ですでに導入しているところも

イギリスの脱退でいま注目のEUでは1993年に制定され2000年にその一部が改正された「EU労働時間指令」によって、インターバル制度はEU諸国の共通の基準となっています。

つまり、EUは日本に先駆け20年以上も前からこの「インターバル制度」のもと、労働を行っていたわけです。

ちなみにインターバル時間の例としてこれまで出してきた「11時間」というのはこのEUでの最低基準です。

一方、日本でもJTBグループが導入するなど、自発的に規制している会社もいくつかありますが、実質的な労働時間の上限規制となるので、これまでは、特に会社側にあまり日本では受け入れられてきませんでした。そのため、EUと違って法制化もされていません。

しかし、早ければ来年から厚生労働省がインターバル制度を導入する企業に助成金を支給する予定でおり、また、国会でも今回の参院選で各政党がインターバル制度の導入を目指している。

となると、結論は一つで遠からず日本でもインターバル制度が導入されることになるはずです。参院選後の特別国会は時間がないと思うので、法制化の議論が行われるのは来年以降だとは思いますが。

 

制度設計上の問題

さて、法制化されるのであれば、法律に則って、制度の導入を行う必要がありますが、今のところはまだないので、既存の労働時間規制に則った形でどのように制度設計すればいいか考えてみましょう。(助成金の詳細が決まれば、それに則った形のインターバル制度の導入を目指すのも手だが、そちらもまだ詳細は不明)

 

インターバルの時間

まず、決めるべきはインターバルの時間です。EUは「11時間」を最低基準にしてますが、JTBグループではグループ会社ごとに「8時間から11時間」と幅があります。法に定めのない今の段階では、会社にとって無理のない時間とすべきでしょう。

 

始業時間

仮にインターバルの時間を「11時間」としたとして、例えば、終業時刻が深夜2時18分みたいな中途半端な時間の場合、馬鹿正直に適用すると、翌日の始業時間が「13時18分」などと、中途半端な時間となってしまいます。

これでもいいという会社であれば別にいいのですが、おそらく分単位は切り上げて「深夜2時1分~深夜3時00分」のあいだに就業した場合は「深夜3時00分」をインターバルの起点にしたほうが、労働者にとってもわかりやすいし、会社としても給与計算等で面倒がないかと思います。

ちなみに分単位を切り捨ててしまうと、インターバルの時間より短くなってしまうので×。もちろん1時間単位としなくても30分単位で切り上げしてもいいと思います。

 

終業時間

次はインターバル制が適用される労働者が現れた時の、当該労働者の終業時間です。

例えば、始業と終業が「9時-18時」、所定労働時間が「8時間」の会社で、インターバル制の適用で、翌日の出社時刻が11時となった場合、当該労働者の終業時間は他の人と同様「18時」とするのか、それとも終業時間をずらして「20時」まで「所定労働時間の8時間」きっちり働いてもらうのか。

会社が判断すべきところですが、個人的には前者のほうがいい気がします。後者だと、インターバル制度が連日で適用されると、始業がどんどん遅くなり、終業がどんどん遅くなってしまう場合があるからです。

 

休憩時間

インターバルによって始業時刻がずれ込んだ結果、始業時刻が休憩時間と重なってしまうと、労働と労働のあいだに取得する、という休憩時間の原則に反してしまいます。

それでも、その日の労働時間が6時間以内であれば休憩を取らせる義務はないのでいいですが、そうではない場合は別途で休憩時間を取らせるルールが必要となります。

 

始業時刻が終業時刻よりあとになる場合

あまりに前日の終業が遅く朝帰りとなったため、インターバル制を適用すると終業時刻より後になってしまう場合どうするべきでしょうか。あるいは、始業時間と終業時間のあいだが1時間とか2時間しかない場合。

方法は2つ考えられますが、1つはその日をお休みにしてしまう。もう一つは、第二終業時刻を作成し、短時間でもいいから働いてもらうという方法。

これも会社次第ですが、お休みにしてもいい気がします。

 

以上です。

他の「最低賃金、時給1000円」や「同一労働同一賃金」同様、この「勤務間インターバル規制」もおそらくさけることはできない未来でしょうから、今のうちから準備しておいて損はないと思います。

この記事で説明したとおり、いざ導入するとなると、意外と決めないといけないことも多いですからね。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。