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自民党の政策から、PTAや町内会で活躍したい女性なんているのか、という話(働く女性限定ね)

2016年6月26日

前回に引き続き選挙の話。

前回はどちらかと言うと、野党の政策に批判的な感じで書きましたが、労働政策については自民・公明より野党のほうがよっぽど阿呆なんだから、これはしょうがない。

まあ、今回の選挙で政権交代が起こる可能性が低いことを考えると、今後の労働行政の動きを考える上でも、自民党の公約はもう少し見ておいて損はないと思ってみてたら、

ん?

と思う内容があったので取り上げたいと思います。

 

女性活躍は自民党の政策の柱の1つ

今の安倍政権は「一億総活躍」を謳っています。その中でも「女性」の活躍に力を入れていて、政策BANKにもああする、こうする、みたいなことがかなりの数書かれています。以下一例。

  • 政治の場への女性の更なる参画を促進
  • 女性の新しいキャリア・ステージの形である起業を支援
  • 指導的地位に占める女性の割合を3割程度にすることを目指す
  • 男性中心型の労働慣行を大胆に見直し、長時間労働を是正
  • 同一労働同一賃金の実現により女性の処遇改善やスキルアップを支援
  • 女子中高生に対する理数科教育を強化
  • 女性に対するあらゆる暴力を根絶
  • 結婚・妊娠・出産・子育てを切れ目なく支援
  • 配偶者控除や第三号被保険者制度など、女性の活躍促進に大きく関連する税・社会保障制度は、女性の生き方・働き方に中立的なものとなるよう本格的に見直し
  • 旧姓の幅広い使用を認める取組みを進めます。まずは、住民基本台帳とそれに連動するマイナンバーカードにおいて旧姓併記ができるよう取り組む

政策BANK Ⅱ.女性活躍

他ならぬ永田町のジジイたち以外は反対しなさそうな内容が多い中、最後2つの配偶者控除と国民年金の第三号の見直し、旧姓の幅広い使用などは、少なからず反発が出そうです。

まあ、そんなのはわきに置いておけるくらいびっくりしたのが、これ。

  • 町内会やPTAなど各種組織・団体の方針決定過程への女性の参画度合いを高めます。女性のいない消防団の解消を目指します。

政策BANK Ⅱ.女性活躍

…なんじゃこりゃ。

えー、これはうちの事務員および給与計算本部事務所の計4人の子持ちの女性の意見を集計したものですが、

働いてる女性のほとんどは、町内会やPTAとかやりたいなんて思ってません。

その証拠に、いつも3月や4月になると、うちの事務所では、やれ「今年は役員やらないといけないかも(怯)」とか「今年やれば来年やらなくてもいいって言われたんですよ(不安)」とか「上の子の時にやったから今年はやらなくてもいいはず」みたいな会話が、昼休みごとに行われるわけですから。

それでも、持ち回りでやる羽目になったらなったで、みんなお喋りしてるだけで、働いてる人から見ればやってることの効率も悪いらしく、忙しい合間を縫って入った甲斐がないんだとか。

縁ない世界だけど、話し聞いてるだけでゾッとする。

専業主婦がいっぱいいた頃ならそれでも回っていたんでしょうが、専業主婦が減り、共働きの家庭が増えた現在においては町内会とかPTAとか、面白くもなければ家計の足しにもならない会ははっきり言って嫌われているわけです。

 

PTAや町内会で女性の活躍を願う人は誰か

で、そもそも、なんでこんな女性側のニーズや実態と合わない政策が入ってるのかなあ、とちょっと想像してみたんですよ。あくまで想像ですから、実際のところは知りません。

まずは前提としてPTAや町内会には、それらを取り仕切っている人と、持ち回りでいやいややっている人の2種類がいる。

でだ、持ち回りでいやいややっている人たちも「やりたくない」と不満を抱えているだろうが、取り仕切っている人たちは人たちで「やる気がない」と、いやいややっている人たちに不満持っているわけです。

では、取り切ってる方といやいややっている方とで、より政治、というより政治家に近いのはどっちだ、ってなると取り仕切ってる側なわけですよ。

政治家だってPTA会長と主婦、どっちの声を聞くかと言ったらやっぱり前者であり、結果、今回の公約に入ってしまったというオチ。

というわけで、こんなしょうもない政策が入ってるのは、PTAや町内会のロビイングの成果、というのがわたしの想像。どこかで聞いた噂とかというわけでも全然ないけどいい線いってるのでは。

 

それは働く女性のニーズに合っているのか

もう一つ気になったのが

  • これまで女性の活躍が少なかった製造業や建設業において、女性も働きやすい職場環境の整備や業務の魅力発信等を行います。

政策BANK Ⅱ.女性活躍

別に魅力を発信するのは止めないけど、じゃあ、女性がそういった職場で働きたがるかといったらまた別の話。

こちらもPTAや町内会と一緒で、女性側のニーズというよりは、製造業や建設業などの会社側のニーズが強そうな政策です。

で、こういう、女性のためと言いつつ、実際には女性がほしい側のニーズに合わせた政策って絶対どこかで破綻するわけです。だって、多くの女性はやりたくないわけだから。

みんなやりたくないのに上からやれって言われたら、絶対に不満が生まれるに決まってるわけですよ。

PTAや町内会にしろ、特定業種にしろ、何かしら問題があるならそれを解決すればいい、シンプルな話。で、女性が増えるか、やる気を出してくれるかはその後の結果論。最初から女性の活躍のために、と銘打って何かしようとするとこういう無理強いさせかねないような政策になってしまうわけです。

 

こういう政策見ちゃうと、やっぱり政治家は働く女性のこと何もわかってねえな、と思ってしまいますね。一緒に働くわたしも日々わからないことばかりで、人のこと言えませんが。

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PTA等の活動は当然、女性だけでなく、彼女らを雇う企業の方の負担があります

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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