題名からして、おまえ何言ってんだ、という話かもしれませんね。
ただ、最近ではゲームの実況配信がネット動画の人気コンテンツになったり、テレビゲームをeスポーツと呼ぶ流れもあり、また、事実としてプロゲーマーという職業も存在しています。
プロゲーマーというのは、大会の賞金や企業とのスポンサード契約でお金を稼いでいる人を言います。今回はこれに加えて、ゲームのランカー(そのゲームのトッププレイヤー)、ゲームの実況者なんかも含めて話をしていきたいと思います。
現在の日本のプロゲーマーはみんながみんな専業かというとそういうわけではなく、昼間は普通に会社員、という人も少なくありません。ランカーの場合、そもそもそのゲームでお金を稼いでいないことも多い。
なので、会社にプロゲーマーやランカーがいる場合の労務管理、という話が出てくるわけです。
(自分がゲーマーなのもあって、今回の記事はプロゲーマーやランカーにちょっと肩入れ気味なのはご了承を)
この記事の目次
ゲームの世界大会に出るために有給
ハースストーンという、PCからもスマホからも遊べるオンラインのトレーディングカードゲームがあります。
テレビCMも放映中なので名前を聞いたことある人も多いでしょう。ちなみにわたしもちょこちょこやってますが、世代の割に、遊戯王とか全然やってこなかったせいもあって、なかなかうまくなりません…。
で、このハースストーンを作ってるのがブリザードというアメリカの会社ということもあって、世界中で人気があり、世界大会も行われているほど。今年、この世界大会の出場権(正確にはその一歩手前)が与えられる日本大会も行われたのですが、その優勝者をめぐってこんな事件がありました。
「e-Sports」日本代表の「有給取得」がネットで話題 「なんなんだよおまえは?」の会社が一転して......
要するに、日本大会優勝者のmattunさんが、世界大会に出るため会社に「有給」を使いたい、と言ったところ断られたと。
それなら、会社辞めてでも行こうとしたところ、今度は奥さんにも拒否されてしまったそうな。
会社からすると突然の長期有給申請だった
実はこのハースストーンの世界大会、本大会はハリウッドで行われます。この時点で、それなりの期間有給が必要だということがわかります。それに加えて、今回は各地域の大会から本戦まで期間がかなり短かったらしい。
当然、日本大会で勝てなければ世界大会には出られないので、勝つことを前提にあらかじめ有給申請するというのもなかなかしづらい。
結果、会社からすると突然の「長期間の有給」申請が行われたわけです。
加えて、mattunさんの職業は看護師。男性の看護師に突然長期間抜けられたら困るのでしょう。そりゃ「なんなんだよ」と言いたくなる気持ちもわからないでもない。
問題は、というと語弊がありますけど、ただ、会社からすると間違いがいなく問題なのは、mattunさんがこうした経緯をすべてTwitterで暴露していたこと。社会人としての礼儀で、勤務先名こそ出しませんでしたけどね。
で、当時はTwitterや2chなどではこうしたmattunさんに対する応援や、大会の運営に対する批判の他に会社への批判も出ており、炎上とは言わないまでも、一種のお祭り状態になっていました。
特定のコミュニティで圧倒的な支持
プロゲーマーやランカーというのは、そのゲームをする人達からすると憧れや尊敬の対象であることが多い(アンチもいるけど)。つまり、それだけ、そのゲームのコミュニティで人気があるわけです。
で、そうしたコミュニティの人気者が理不尽なことをされると、みんな怒るわけです。逆に言うと、会社内の評価だけでその人を見ると、致命的な間違いを侵す可能性がある。
これだけ「ブラック企業」という言葉が浸透して、結果、有給はある程度労働者が自由に取得できることが世間に浸透していますからね。今回、有給取得に難色を示したのはちょっと悪手でした。
なので、たかがゲームと言って、プロゲーマーやランカーにつれない態度をとると、会社そのものが炎上しかねない。今回は、その後、割とすぐにmattunさんの勤務先が有給を許可したので騒動はすぐ収まりましたけどね。
基本は他の副業と同じだが…
まとめると、会社から見た場合、プロゲーマーやランカーというのは副業の一種という捉え方で基本はいいと思うんですね。
なんだその副業、と思う方もいるかもしれませんが、会社として覚えておかないといけないのは「副業は多様化している」というのがまず一点。
基本的に競業以外で副業は禁止できないので、職務専念義務に違反しない限り、会社からすると、プロゲーマーやランカーの活動を止めることはできません。ただ、ゆくゆくはゲーム一本で食ってく気があるかどうかは、今後の人事・労務管理に関わるのでそれとなく把握しておきたいところ。
そして、ただの副業やダブルワークと最も違うのは、プロゲーマーやランカーの後ろにはファンが付いていること。彼らを怒らせるようなことがあると、会社が炎上に巻き込まれる可能性がある、というところが他の副業と最も異なる注意点なのです。
では、どうすればいいのか、といえば、結局のところ、他の副業同様、会社側が寛容になるほかない気がしますね。
逆に言うと、何が何でも副業は認めない、というのは判例はもちろんのこと、時代の流れとも合わなくなってきている。どうしても嫌なら、採用段階で拒否するしかない…。
個人的には、一部のコミュニティとはいえ、プロゲーマーやランカーは影響力があるのだから、彼らに自分の働いている会社は良い会社だ、って発信してもらえるくらいの支援はしてあげて損はない気がするのですが…。