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プロでも最初から完璧な規則は作成できない
誤解を恐れずに言うなら、就業規則作成のプロである社労士であっても最初から完璧な就業規則を作成できるわけではありません。
なぜなら、特に就業規則作成のために依頼した外部の社労士の場合、会社内部の事情を知っているわけではないからです(逆にいうと、あなたの会社の内部事情を何もかも把握している顧問社労士の場合、初めから精度の高い就業規則を作成してくれることことでしょう)。
もちろん、作成するに当たって、経営絵者や担当者と面談したり、ヒアリング等は行うはずですが、法律的な部分はともかく、それ以外の会社のルールの部分について最初から完璧な就業規則を作成できるかというと、それは正直な話、難しい。
なので、社労士が最初に作成して持ってくる就業規則は、労働時間や賃金形態等はヒアリング内容を基にしているとはいえ、その実態は「叩き台」に近いものとなります。
「叩き台」の自覚がない社労士は要注意
叩き台なので、最初の就業規則はまだまだ未完成品です。
一方で、叩き台だからこそ、気に入らないところがあればどんどん文句を言っていいし、気になるところはどんどん相手の社労士に聞いていいわけです。
他の社労士は知りませんが、わたしはそうしたご意見をいただくことを全く苦に思いませんし、ありがたいと感じ、完璧な就業規則の作成に向けて、業務を行うことができます。
逆に言うと、そういうことができない、お高く止まって「うちで作った就業規則は完璧なんだから文句言うな」みたいな社労士に頼むと、就業規則作成は失敗に終わる可能性があります。
大事なのは「叩き台」をどう叩くか
よって、より良い、会社に合った就業規則を作成するには、この「叩き台」をどうやって叩くかが重要となるわけです。
とはいえ、労働法や労務のことに詳しくない一般の方からすると、就業規則をどうやって読み、どのように叩き台を叩くかはかなり難しく感じるかも知れません。
ただ、気を楽にしてほしいのは、法律上の難しいことは専門家である社労士が考えればいいことだということです。
なので、会社として「叩き台を叩く」場合は、より気楽に、以下のような観点から叩き台を叩いてもらえばいいと思います。
会社の就業規則作成の目的に立ち返る
就業規則を作成しようと思ったとき、それには何かしらのきっかけがあったのではと思います。
まずはその点に関する条文をチェックしたり、社労士に要望を出すのが良いでしょう。
守れるか、守れないか
守れない規則ならない方がマシ
自分の会社と社員が「守れるかどうか」を基準に条文をチェックするのも重要です。
就業規則は労働者が順守しなければならないことはもちろんのこと、会社自身も守っていく必要があるものです。会社が守れない就業規則ははっきり言って紙切れです。
よって、法律的にどうか、世間一般的にはどうなのか、ということはひとまず置いておいて、この条文は守れる、この条文は無理、と見ていき、作成した社労士に意見や文句をいうと良いかと思います。
そうした意見を会社と社労士ですりあわせることによって、最終的にはその会社にとって最適な就業規則作成につながっていくからです。
ただし、法律的に決まっている部分については「無理でも守ってください」と、社労士としては言うしかない場面も多いのですが…。
気になる条文は「法律で決まっている」かどうか確かめる
「守れるかどうか」と似ていますが、「法律で決まっている」とかどうかという視点も重要です。
なぜなら、就業規則の条文には、法律で定められた範囲内で定める必要のあるものと、そうではないものがあるからです。
法律で決められているものの場合、就業規則の条文作成する上で自由度が低くなります。
一方、法の定めのない規定については、判例や一般常識などの範囲ではあるものの、法に定めのあるものよりも自由度は高くなっています。
つまり、そうした法に定めのない条文については、会社の裁量の幅が大きいということであり、これらを有効活用することでその会社にとってよりよい就業規則を作成できる可能性が高まります。
必読!失敗しないための就業規則作成マニュアル一覧
就業規則作成・変更のために準備すべきこと
- 就業規則とは? 就業規則にできること、できないこととは?
- 就業規則の作成義務があるのは労働者の数が10人以上の事業場
- 今ある問題、将来起こりうる問題を洗い出す
- 就業規則を内製するか、社労士に外注するか