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半年で2億超えの碧南市の資料から読み解くふるさと納税の裏側

2016年2月6日

昨日に引き続きふるさと納税の話です。

碧南市のふるさと納税の特典として、遊園地の貸し切りというものがあるのですが、前回の記事を書いている段階では、そんな額の寄付する人なんているのか、個人的に疑問でしたが、実際にいらしたようです。

しかも、このような形で!

“ふるさと納税で、施設の子供達を遊園地へ招待”した匿名の男性が話題に!

ええ話や…。

そんな碧南市ですが、ふるさと納税の返礼品確保のためにパートナー企業を募集しているのですが、その資料がまたすごい。というか、赤裸々すぎる!

平成28年1月18日開催説明会資料(リンク先PDF)

 

市の負担は寄附金の4割まで

まず、碧南市のふるさと納税の返礼品の要件は以下の通りとなっています。

  • 市内で製造されている商品、栽培等されている農水産物等で、本市の魅力を体感できるもの
  • 寄附金1万円の商品の場合、1商品あたり3000円程度(送料・梱包代・消費税込み)のもの
  • 返礼品については、返礼品の代金および送料を市が負担し、負担の上限は寄附金の4割

つまり、碧南市の場合ですと、ふるさと納税された寄附金のうち6割は、役所に入るわけです。

碧南市のふるさと納税の額は平成27年4月から9月までのあいだで約2.4億円ですから、返礼品の負担を差し引いても最1.4億、その他の経費をいくら引いても1億切ることはないでしょう。人口7万人ほどの市でこれはでかい。

 

エントリー金額で商品の枠が決まる

また、碧南市では返礼品を提供してもらう企業をパートナー企業と呼んでいますが、パートナー企業となるためには、

  • 市内に事業所がある法人又は個人
  • 申込時に市税の滞納がない
  • エントリー金額(2万円以上)の負担
  • 選定は市が行う

なんと、商品を提供するだけでなく、パートナー企業へのエントリー金の負担もお願いするらしいです。

これが、全国の他の自治体でも一般的なことなのかはわかりませんが、それより何より驚くのが、このエントリー金額の多寡によって、返礼品選択ページでの配置が変わるそうなのです。

ふるさとチョイス

一般にコスト感覚や商売感覚が欠けているといわれる役所ですが、碧南市のやり方は貪欲なアフィリエイトサイトそのもの(ただ、ステマ扱い等されないためには、寄付する側にそういうことがわかるようにしておく方がベターだとは思う)

 

ふるさとチョイスのステマ疑惑

もちろん、返礼品出せ、エントリー代金払え、みたいな上から目線の殿様商売ではどこも何もやってくれません。役所自らが営業マンとなって、返礼品をアピールしないといけないわけです。

で、碧南市がまずやっているのが、ふるさと納税のポータルサイトである「ふるさとチョイス」への広告掲載。

エントリー代金までもらうのだから売ってやろう、という気概が見えてい良いのですが…、

ふるさとチョイス1

えっ、ふるさとチョイスの①とか②の部分って広告だったんかい!

碧南市に罪はない(とも言い切れない)が、これ、寄付する側からするとどこにも広告だってわかる記載がないので、これが某切り込み隊長の耳に入ったら、運営元のトラストバンクはあっという間にステマ扱いで炎上しそう…。

もちろん、ふるさと納税をしようと思っている人たちにリーチしやすいサイト(ふるさとチョイスの月間PVはなんと4000万PV!)に、このようにきちんと広告を出していること自体は評価できるんですけどね…。

それ以外にも、特集サイトを作成したり、期間限定特集を行うなど、市の方で積極的に企画・営業を行っている模様。

ふるさとチョイス2

 

うーん、もうちょっと碧南のことを褒めるつもり、褒めちぎるつもりだったんだけど、思わぬステマ疑惑(碧南市ではなくふるさとチョイスのね!)で、途中でなんだかわたしの気持ちがトーンダウンしてしまいました…。

ふるさとチョイスのアレがなければ、中日新聞とかで特集組めそうな成功事例だと思うんだけどなあ。

ただ、種類こそ豊富なれど、全国的に有名な名産品がない碧南市が、半年で2億4千万円もの寄付を集めていること自体は、非常に評価できることだと思います。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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