勝手に土日は労務問題について書かないと決めていたのですが、労務問題以外にネタがないし、なにより今週はSMAPのことばかり書きすぎたので、今回は例外的にこちらの記事について。
時間にルーズなお国柄だと噂には聞いていましたが、国がこのように対策に乗り出さないといけないというのは、よっぽどタイムカードの不正打刻が多いのでしょう。
ただ、刑罰こそないものの、日本でもタイムカードの不正打刻には厳しいペナルティがあります。
タイムカードの不正打刻に厳しい判例
一般に、日本の裁判所は企業が行う懲戒解雇に対して、非常に厳しい判決を行う傾向にあります。つまり、懲戒解雇を無効とする判決を出しがちなわけです。
しかし、ことタイムカードの不正打刻に関しては別です。
八戸鋼業事件では、懲戒解雇の有効性について最高裁まで争った結果、タイムカードの代返(代刻?)により、出社していないのに出社したように見せかけるよう不正を行った者については、依頼した者、依頼された者ともに解雇すると、労働者に対して周知していたこともあり、解雇は有効と認められています。
また、常懐学園事件でも、裁判官が判決で、タイムカードの不正打刻は「労使間の信頼関係を破壊する道徳的不正」と述べた上で、懲戒解雇は有効と判断しています。
2つの事件は、かなり古い判例ですが、現在でもサービス残業や未払い残業などの事件で、裁判所がタイムカードを重要視することを考えると、逆説的ではありますが、十分通用するのではと考えられます。
タイムカードの不正打刻は詐欺
タイムカードの不正打刻というのは言ってしまえば、労働者による詐欺です。
日本の労働法では原則労働時間に対して賃金を支払うことになっていますが、その労働時間を偽って賃金を会社から詐取するわけですから。
日本人は真面目だからタイムカードの不正打刻などしない、と思うかたもいるかもしれませんが、この手の相談は経営者や人事労務担当者から時折受けることがあります。受けることがある、ということはバレてるってことです。
まさか、自分の会社でと思うかたも、タイムカードが手書きの自己申告だったり、深夜の時間帯など経営者や上司の目の届かないときなどに魔が差す、というのは、残念ながら誰にもあり得ることです。
会社としては、労働者をそのような行為から守るためにも、タイムカードの不正打刻は懲戒処分の対象となることをきちんと周知し、就業規則にもその旨、定めておくべきでしょう。