直近だとこのブログ、SMAPの件について、労働基準法上問題がないのか、という疑問を持っていると思われる検索キーワードで来訪される方が多いのですが、今回の件では、おそらく労働基準法が役立つことはないと思います。
というのも、おそらく、SMAPとジャニーズとのあいだで結ばれている契約はマネージメントに関する委託契約だからと推察できるからです。
もちろん、いくら委託契約を結んでいたとしても、その労働の実態が労働契約であれば、労働基準法上の労働者となり、労働基準法の出番も出てきます。
ただ、芸能人の労働者性については、以下のように厚生労働省が過去に通達を出していて、
1.当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸能性、人気など、当人の個性が重要な要素となっていること
2.当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと
3.リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクションとの関係では時間的に拘束されることはないこと
4.契約形態が雇用契約ではないこと
(S63.7.30 基収第355号)
以上の4つすべてを満たさない場合に限り、労働者ではないとしています。
1はもう間違いなく当てはまるとして、2は噂だとSMAPは歩合制、3と4は飯島元マネージャーと、ジャニーかメリーに聞いてくださいという話ですが(笑)、週刊文春のインタビューに顧問弁護士2人付けるような副社長がその辺のへまを踏むとも思えません。
長時間労働や深夜業、有給のことを考えると、芸能人を労働者として雇うメリットってほぼほぼないと思うので、委託契約であると、わたしは推察します。
会社員でなくても組織できる労働組合
で、今回の件では労働基準法よりも労働組合法のほうが役に立つかもしれません。
実は労働基準法上の労働者の定義と比較して、労働組合法上の労働者はより範囲が広く、失業者や個人事業主なども含みます。
労働基準法
第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
※ 強調は筆者による
労働組合法
第三条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。
※ 強調は筆者による
よって、会社の社員などでなくても、労働組合を組織することは可能なわけです。
例えば、プロ野球選手は、労働法上は個人事業主とされています。にもかかわらず、プロ野球選手は日本プロ野球選手会という労働組合を組織し、ライブドアの近鉄バッファローズ買収に端を発したプロ野球再編問題の時には、ストライキを起こしているのがいい例です。
芸能人による労働組合
なので、芸能人の契約が労働契約であろうと委託契約であろうと、労働組合を組織することは可能です。
それも、対所属事務所、だけでなく、プロ野球みたいに対業界に向けた労働組合を組織することもできるし、合同労組やユニオンのように、他の事務所のタレントと連携する形も可能です。
よって、SMAPの4人や飯島マネージャーは独立よりも先に、他の大物芸能人を巻き込んだ労働組合を組織すべきだったのかもしれません。
組織したらしたで干されそうですが、労働組合を組織しておけば、少なくとも不当な契約の解除や、番組の降板や打ち切りに対して、プロダクションやテレビ局と交渉することはできるわけで、これを拒否すると不当労働行為となり、行政も介入できます。
実際、アメリカには映画俳優組合という、俳優が組織する労働組合が存在するそうです。
話題の曲であり、言わずと知れた大ヒット曲ですが、個人的にはコンビニバイトしてた頃によく店内でかかっていたので、この曲を聴くとそのことばかり思い出します。