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書評 行動経済学

子どもの頭が良くなる正しいほめ方-「学力」の経済学【書評】

2016/01/19

News Picksでこちらの記事が話題になっていましたが、

「褒めて育てる」でダメになった日本の若者

話の根拠となる部分にエビデンスがなく、正直説得力がない。もしかしたら、インタビューされている榎本博明氏の近著にはそのあたりのこともきちんと書かれているのかもしれませんが、わたしの場合、子供もいないので別にいいや。そもそも、若者に「ダメになった」なんて言えるほど、あんたは立派なの? という話だし。

今日は彼のより(たぶん)もっといい本があるのでご紹介します。

それが「学力」の経済学(中室牧子)です。
「学力」の経済学

「学力」の経済学

ほめと自尊心

そもそも、子供はほめて育てるべきか否か、という議論は、子供の自尊心をいかに高めるか、ということにつながります。自尊心が高いと、そうでない生徒と比較して、教員との関係が良好で学習意欲が高く、実力に見合った進路を選択する傾向があるからです。

よって、ほめてほめて子供の自尊心を高めよう、というのがほめ育てなわけですが、実はこれ、因果関係が逆で、学力が高いから自尊心が高いのだと、後の実験でわかりました。だから、ほめたからといって、自尊心が育つわけではない。

また、別の実験では、「やればできる」などという自尊心を高めるメッセージと、そうではない事務的なメッセージを送った生徒を比較した場合も、「やればできる」などのメッセージを受け取った生徒の方が成績を落とすという結果が出ました。

これは特に、元々の学力が低い学生に顕著だったようで、

悪い成績を取った学生に対して自尊心を高めるような介入を行うと、悪い成績を取ったという事実への反省する機会を奪うだけでなく、自分に対して根拠のない自信を持った人にしてしまう。

述べた上で、

むやみやたらに子どもをほめると、実力の伴わないナルシストを育てることになりかねません

と筆者は警告します。

 

ほめ方で変わる子どもへの影響

なんだかここまでは、「やっぱりほめたらダメなんじゃん」という内容ばかりですが、もちろん、子どもはほめてはいけないと言うことではありません。ようは、ほめてはいけないときまでほめるな、という話です。

で、ほめていいときに、どのようなほめ方なら効果があるのか、というのも実験の結果でわかっています。

例えば、いい成績を取った子どもに対して「頭が良いね」とほめることは、その子どもが元々持つ能力をほめることになります。

逆に、「よく頑張ったね」とほめるのはその結果を得るための過程、努力をほめたことになります。

で、どちらの方が、その後も成績が良かったか、つまり、効果があったかといえば、それは断然後者で、前者では子どもたちは意欲を失い、成績が低下したそうです。

これは、頭が良いとほめられた子どもは、「何かを学ぶこと」ではなく「よい成績をえること」がより重要と考えるようになり、また、結果の良し悪しについても、自分の才能のありなしで考える傾向があったからです。

つまり、努力が大切という考え方が根付かず、努力しようという意欲が生まれなかったわけです。

逆に、過程や努力をほめられた子どもは、悪い成績を取っても努力が足りないせいだと考えるようになったそうです。

 

経済学の実験結果が根拠

昨年、結構話題になった本なので、今さらの紹介ですが、この本には他にも「お金をご褒美であげていいのか」とか「テレビやゲームと成績の関係」といった、親が子どもを育てる上で悩むであろう事柄について、きちんと経済学の実験結果を根拠に解説しているので、一つ一つが非常に腑に落ちるというか、納得できます。

個人的には昨年読んだ本の中でも、かなり上位でおすすめできる本ですが、小・中と「頭が良い」「頭が良い」と言われて育ったわたしには結構耳の痛い内容だったりしましたよ。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。