岡山大学が盛大にやらかした件について、
何か書こうと思ったら、サイエンスライターの片瀬久美子さんが、今回の懲戒処分がいかにおかしいか、岡山大学の就業規則などと照らし合わせて自身のブログで書いていらっしゃっていました。
乗り遅れて、次の電車が来るまで待ちぼうけているのもアレなので、わたしの方では労働基準監督署に通報(申告)した自社の社員を解雇できるか、という話をしましょう。
(本当は公益通報者保護法について書こうかと思ったんだけど、今日は時間がなくて無理!)
内部告発者と公益通報者保護法
今回の岡山大学のやり方がかなりヤバいというのは、人事・労務の仕事をされている方ならすぐにわかると思います。
というのも、企業や学校などの団体の不正行為に対する内部告発者というのは公益通報者保護法で守られているからです。もちろん、公益通報者保護法は、「公益」を守る法律なので、内部告発者ならば誰でも守るという法律ではありませんが、この法律がある以上、会社などは内部告発者に対して、一定の慎重な対応が求められます。
で、今回の岡山事件の不正というのは、研究に関する不正なので、この公益通報者保護法が当てはまるわけです。
では、労働者の労働条件について不正があった場合にこれを労働基準監督署に通報(厳密には申告)した場合というのはどうかというと、こちらは労働基準法の出番となります。
監督署への申告は労働者の権利
労働基準法の第104条には、
(監督機関に対する申告)
第百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
ご覧の通り、労働者は労働基準法に違反している事業場を監督署等に申告できると書いている上、会社はそれを理由に労働者を解雇したり、それ以外の不利益な取り扱いをしてはいけないと書いてあります。
よって、労働基準監督署に通報(申告)した自社の社員を解雇できるかという問いに対する答えはNO。
そんなの関係ないよで解雇しても、不当解雇で訴えられたら100%負けます。
その下駄は早く脱いだ方が良い
今回の岡山大学の件もそうですが、労働者の側から不正だ、違法だと言われて、その報復に相手を解雇する、というのはその会社や団体に自浄作用がないと言っているようなもの。
残念ですが、そのような組織では第二・第三の通報者が現れることは避けられないでしょう。
不正を行っていたり、労働基準法を守っていなかったとしたら、それは他の企業と比べて今まで下駄を履いていたようなものです。よって、下駄を脱ぐときが来たのだと覚悟していただいて、今後はコンプライアンスを高めていく必要があるでしょう。