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名古屋城の木造復元に400億使う前にもう少しマーケティングしてみてはどう?

2016/05/24

名古屋城の話の続き。

名古屋城を木造復元するだけで入場者倍増ってどんだけお花畑なんだ河村市長

入場者数倍増の前に、そもそも、名古屋の観光地の入場者数事情はどうなっているかというと、平成26年度の主要な観光地の入場者数は以下の通りです。

名古屋観光地入場者数

見ての通り、熱田神宮が頭一歩どころか他にトリプルスコアを付けている状況です。

まあ、入場料がかからなかったり初詣需要などがあるので熱田神宮は別格としておくにしろ、他ではコアラとイケメンゴリラで有名な東山動物園が220万人、シャチショーの名古屋港水族館が200万人。世界一のプラネタリウムがある名古屋市科学館にしても140万人です。

残念ながら年間入場者数300万人達成している観光地はありません。

言い換えれば、観光都市として名古屋を観た場合、そもそも、有料の観光施設で年間入場者数で300万人を狙える都市なのか、という疑問があるわけです。

 

日本のお城は300万人狙えるか?

そして、それは日本のお城という観光コンテンツ自体にもいえることです。

こちらは前回の記事でも載せた、平成22年の全国のお城の入場者数ランキング。

1位 首里城  175.3万人
2位 熊本城  157.9万人
3位 大坂城  151.2万人
4位 名古屋城 147.2万人
5位 二条城  146.3万人
6位 松本城  86.7万人
7位 彦根城  73.9万人
8位 姫路城  71.0万人
9位 若松城  59.3万人
10位 小田原城 45.9万人

2012年度の城郭入場者数ランキング

昨年は、平成の大修理を終えて、ネットでは「白すぎ城」の異名を取った姫路城が、平成20年の熊本城の年間入場者数221万人を超え、日本一を記録しましたが、それでも300万人には届いていません。

つまり、名古屋という観光地という観点からみても、日本のお城という観光コンテンツの観点からみても、そもそも300万人を狙えない可能性があるわけです

 

立地とブランド

実は名古屋城や大阪城、首里城というのは、入場者数と比べると、口コミランキングではそれほど上位には上がってこないお城です。にもかかわらず、入場者数が日本トップクラスというのは、大都市や観光地にあるなど立地条件が良いからと考えられます。

逆に、観光地としてそれほど有名とはいえない地方都市にあるものの、口コミでの評価も高く入場者数も多い熊本城や姫路城というのは、お城そのものの知名度やブランド力で集客していると考えられます。

よって、名古屋城や大阪城などの立地の良さに加えて、熊本城や姫路城が持つブランド力を名古屋城にも加える方策として、名古屋城の木造復元を行う、というのはわからないでもありません。

 

2つの問題

問題は2つあって、1つは前回の記事で指摘した、木造復元されたお城に本当に集客力があるのか、という問題。木造復元しただけでブランド城になれるわけではないからです。

もう1つは客層の問題です。

上で述べたように、名古屋城や大阪城などの「立地城」と熊本城や姫路城のような「ブランド城」とでは客層が大きく異なると考えられます。

これで、立地城とブランド城の客層がまったく異なるのであれば、立地城をブランド城にできれば、入場者数は単純に足し算できます。名古屋城の入場者数165万人に姫路城の222万人を足せば、300万人どころか400万人にも手が届く。

しかし、そんなことはまずありえず、お客さんの中には「地元だから行く、逆を言えば、地元以外の城には行かない人」もいれば、「世界遺産や国宝だから行く」もいるし、「大都市でのショッピングのついでに観光で行く人」や「お城マニアで全国どこのお城にも行く人」もいて、とにかく多種多様に考えられます

こうした多種多様な嗜好を持つ観光客の客層が、立地城とブランド城でその重なりが小さければ小さいほど、立地城がブランド城になったときの入場者数の上げ幅は大きいですが、ほとんど重なっていると期待ほどの効果はない。

 

立地城とブランド城ではライバルも異なる

で、客層の違いで言うと、確かに違うとは思うんですよ。

ただ、立地城は、なにかの「ついでに」お城に来る人が多いわけです。メインのお客さんは大都市にもともと住んでいる人や、お城に行くこととは別目的でやってくる人が多いので、競争相手は近隣の観光地に限られます。

一方、ブランド城は、そのお城を観たいがために来るお客が多いわけですが、そういったマインドのお客さんというのは、全国のお城や有名観光地の中で、どこに行きたいかを考えます。

つまり、姫路城や熊本城などの全国のお城や他の観光地と競争を勝ち抜いていかないといけないわけです。

果たして、木造復元が終了した名古屋城はこうした全国のお城や観光地に対して、どのように優位性を示していくつもりなのか、ということについては、この木造復元事業では不透明です。

 

わたしのような素人未満のマーケッターが少し考えるだけでも、これだけ課題が見つかるのに、木造復元すれば、入場者数が倍増なんていう河村市長の頭の中はやはりお花畑と言わざるを得ないでしょう。

 

追記:こちらの記事によるとやっぱりろくにマーケティングなどの調査をしてないみたいです。木造復元するという目的だけがあって、その他のことは後回し。典型的なお役所的&失敗する考え。

名古屋市「名古屋城天守閣木造化の収支計画と入場者数は公認会計士と相談済み」?

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。