就活・雇入れ

労働者と求職者は違う!炎上予備軍を雇って育てる義理は会社にはない

2015年12月27日

こちらの記事で、ネット炎上について

ネット炎上に関する労務管理の常識が変わった2015年

自社の社員のネットリテラシーについてはきちんと教育しないといけないと言いながら、こちらの記事で、

企業がSEALDsや学生デモやる連中を雇うのは炎上の火種を会社内に入れるようなもの

炎上させるような人間は雇うな、と書いています。

矛盾しているというか、両方の記事をまとめると、炎上の気がありそうな労働者でも雇ってから会社が教育すればいいじゃないか、と読めないこともありません。特に世間知らず学生とかはそうやって難癖つけてきそう。あるいは、60年代安保の学生運動の感傷に浸ってるような左翼のなれの果てのご老人とかね。

実際に前回の記事でそういった難癖をつけられたわけではないのですが、今回は何か言われる前に先回りしてやろうというのが記事の趣旨です。・・・、言われてもないことに反論って、なんだか被害妄想丸出しの感もしないのでもないですが(笑)。

 

労働者と求職者は別者

でね、わたくし、上記のように、炎上やらかすような愚かな人間でも雇ってやればいいじゃないか、会社で教育してあげればいいじゃないか、みたいな意見を言うような人がいたら、

「甘ったれんじゃない」

と言いたいんですよ。というか、言われたら、絶対そう言い返します。

まず、間違えてはいけないのは、そもそも、求職者(就活生)と労働者とでは、全く別物、いや「別者」だということです。雇用保険法や労働組合法などでは、どちらも労働者とひとまとめにすることもありますが、少なくとも会社から見たら全く違います。

別の意味の者を同列にしたりごちゃ混ぜにするのは論理のすり替えです。

 

法律的にも精神的にも労働者と会社のつながりは深い(良くも悪くも)

まず、両者は法的に違います。

会社は、自社で労働契約を結んだ後の労働者に対して、会社は様々な責任を負っています。労使間で結んだ契約の遵守はもちろんのこと、労働基準法や労働安全衛生法といった法律を遵守し、雇用保険や社会保険にも加入させる必要もある。

加えて、業務とはいえ顔をつきあわせていれば人間関係だって良くも悪くも深くつながっていくわけです。

なにより、人を雇い入れるというのは、その人の人生を預かることを意味します。人の人生を預かる以上、会社が責任を持つのは当然の話で、何かの縁があって一緒に働くことになった以上、互いにハッピーでいられるに越したことはありません。

労働者の誰かがネット炎上を起こしたら、会社と労働者が互いにハッピーではいられなくなります。だからこそ、そういったことがないようにきちんとネットリテラシー等の社員教育をしようというのがこの記事での話なのです。

 

求人・求職は婚活パーティーみたいなもの

一方、会社と求職者には上記のようなつながりは一切ありません。

面接時に預かった履歴書を個人情報保護法に基づいて処理するとか、求職者の扱いがあまりにひどいと悪評が立ったりみたいなことはあっても、会社と求職者の間に労働契約やそれに類する契約関係は存在しないし、ほぼ初対面の相手につながりもへったくれもない。

そもそも、求人する会社と会社を探す求職者というのは、婚活パーティーに参加する見知らぬ男女のようなもので、よりよい相手、より高いスペックの相手を探すために品定めをしあい、腹の探り合いをしているわけです。なんとも身も蓋もない話ですが、それが求人・求職の本質なわけです。

で、より高いスペックの相手を探しあっているんだから、明らかに低スペックだとわかる、少なくともそう見える炎上常習者を会社が雇う理由はないし、その価値もなければ義理もないし、法律上の責任もない。ましてや、雇って育てるなんて、婚活女子にニートと結婚して旦那を立派に育てろと言ってるようなものです。

 

 

名古屋のブロガー社労士の日記TOPへ戻る

良かったらシェアお願いします!

  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

-就活・雇入れ