少し前までの、特に企業に関係するネット炎上というのは、バカッターに代表される学生アルバイトの度を超えたいたずらというイメージでしたが、それが今年になって大きく変わってきました。
代表的なのはこのブログでも取り上げたF-Secureの件で、炎上を起こしたのは学生アルバイトなどではなく、ネットセキュリティの世界に長く身を置いてきた、いい歳をしたおじさんでした。
こちらは記事にしていませんでしたが、新潟日報の件もまた、犯人は支社の報道部長(当時)というきちんとした役職にあるおじさんでした。
※ 新潟日報の件、ご存じない方に少しだけ説明しておくと、新潟日報の報道部長がTwitter上で弁護士に暴言を吐いた結果、被害にあった弁護士の先生が本人を特定し謝罪させたという事件。事件を起こした新潟日報の報道部長は無期休職処分。
正規の雇用者も炎上事件を起こすようになった
あのー、勘違いしてもらいたくないのですが、別にわたし、おじさんを批判したいわけではありませんよ(笑)。
単に、炎上を起こす人間というのは若くてバカな学生だけではなくなっている、ということを示したかっただけです。バカでないどころか、肩書などを見るとかなりきっちりとしていたりする。
しかし、バカでないことや社会的に立派な肩書を持っているということと、ネットリテラシーがあるかどうか、というのは全然別な話で、2015年というのは学生のようにネットリテラシーが未成熟な人間ではなく、ネットリテラシーがあってしかるべき大人たちがいろいろと問題を起こしてしまうことが多かったということです。
別の言い方をすれば非正規の学生アルバイトだけでなく、正規雇用の大人が会社に申告な影響与える炎上事件を起こすことが増えたともいえます
非正規の炎上、正規の炎上
ただし、学生アルバイトが起こす炎上と、正規雇用が起こす炎上とでは、今のところ大きな差異が見られます。
学生アルバイトが起こす炎上というのは、業務中に、業務用冷蔵庫に入り込んだり、飲食店の食材を使って遊んだりと「非常識な一発芸」を、仲間内だけだと思ったり非常識だと思わずSNSにアップロードするというのがその傾向。
こちらは主に業務中やその前後に行う行為なので、懲戒処分を行うことはそれほど難しくないですし、最悪スマホを事業場で使わせなければ、バカな写真をSNSに上げることを避けることができます。
一方、今年注目が集まった、正規雇用のおじさんが起こす炎上というのは必ずしも業務内ではありません。F-Secureの件にしろ新潟日報の件にしろ、業務とは関係のないプライベートのSNSアカウントが発端でした。
いくら職場では真面目でも、匿名のSNSなどでは人が変わるなんてことはよくあることではありますが、それも度を過ぎるとネットで炎上し、会社にも迷惑がかかるわけですが、こうした炎上は、学生のバカな炎上に比べて思いの外対応が困難です。
社員教育でネットリテラシーを高める
学生アルバイトの炎上は、上でも述べたように対処は比較的簡単な上、変な話、非正規なのでトカゲの尻尾切りもしやすい。
しかし、正規雇用の従業員がプライベートなSNSで何かをやらかして炎上した場合の扱いの困難さは、非正規の比ではありません。なにせ、会社が従業員のプライベートな出来事に対して懲戒処分を行うのは難しい上、懲戒解雇するとなるとそもそも業務上の出来事ですら難しいからです。
となると、会社を炎上の火の粉から守るためにできることは2つ、採用の時点でネットリテラシーの低い人はそもそも正規雇用しないか、すでに正規雇用している労働者に対してネットリテラシーを高める社員教育を行うことです。
ただ、前者の段階でネットリテラシーの低い人間を弾くにしても、そういった人間を見抜くには、面接する側に一定のネットリテラシーがなければ不可能なので、やはり、会社を挙げてネットリテラシーを高める必要があります。
なぜ、会社がそんなことを、と思う方もいるかもしれませんが学校が教えくれない以上、自衛のためには会社がやる他ないのです。
また、従業員のプライバシーに関わることなのでTwitterやFacebookのアカウント名まで提出させていいものかは微妙なところですが、最低限TwitterやFacebookなどのアカウントを保持しているかどうかだけでも聞いておくべきだとは思います。