問題社員・炎上

全国社会保険労務士連合会こそ炎上社労士への懲戒請求すべきだった

2015年12月22日

なんか昨日の記事で今日から暫く過去のコンテンツの焼き直しで凌ぐとか言ってましたが、あれはまあ、嘘になりました。というか、鉄は熱いうちに打つのがわたしのポリシーなので、いくらブログを書く時間がなくても、タイムリーな話題があれば泣きながら更新していく予定です。

以下、本編。

 

えー、延焼しております。例の、問題社員を鬱にする方法を自分のブログに上げた社労士の件です。

この件について対ブラック企業のNPO法人と知られるPOSSEが厚生労働省に対して懲戒処分を行うよう要請をしたそうです。

「ブラック士業の取り締まりを」合法パワハラ指南ブログの「社労士」に懲戒処分を要請

よりにもよってPOSSEにビジネスチャンスを与えてしまうとは、あーあ、という感じです。

 

炎上案件の鉄則

自社の社員が炎上を起こした場合、企業が取るべき行動はただ一つだけで、それは速やかに炎上を起こした人間を処分することです。

炎上を起こしている連中はより重い処分、断罪を望んでいたりしますが、実際にはその処分が甘くても、不完全でも、とりあえず処分さえすれば、それ以上の延焼は防げる。なぜなら、処分というのは一応のけじめであり、炎上案件に対するほぼ最後のニュースバリューのある出来事だから。

F-Secureや新潟日報の件も、一部ではまだまだ燃え続けているのかもしれませんが、処分以上の大きなニュースがないので、とりあえず全国的なニュースで取り上げられることはなくなりました。

こちらの記事で、断罪しないとダメ、みたいに書きましたが、その後の流れを見ていると処分すること自体に大きな意味があったのだと考えを改めました)

ネットの炎上というのは、それがネット内に収まっているうちはそれでもマシというか、一般の人達が知ることはほとんどありません。しかし、それが大手メディアが取り上げるようなニュースになると一般に知られるようになるので、企業からするとダメージが大きいわけです。

だから、自社の社員の炎上案件が何度も大手メディアに取り上げられることは出来る限り避けなければならないのです。

 

社労士は社労士を懲戒処分できない

で、どうして例の社労士の処分が未だに行われていないかというと、まず抑えておかないといけないのは、社会保険労務士を懲戒処分できる権限を持つのは厚生労働大臣だということです。処分が行われていない、というのは、つまり、この件に対する厚生労働省の動きが鈍い、というのがあるわけです。

しかし、これは実は重要ではありません。

より重要なのは、厚生労働省が懲戒処分の権限を持っていることそのものであり、社会保険労務士の統括団体である全国社会保険労務士連合会に懲戒処分を行う権限がないということです。

社労士資格は今年の試験で合格率2.6%という脅威の難関試験に変貌(笑)したにもかかわらず、です。

というか、調べたらどうも社労士だけでなく、弁護士以外の士業というのは基本的に、懲戒処分の権限についてはその士業を監督する行政庁が持っているようです。

行政庁による士業の懲戒比較表(特許庁 リンク先PDF)

逆を言えば、ほとんどの士業団体というのは構成員の不祥事に対して何もできない、自分のケツを自分で拭けないわけですね。

 

スピード・イズ・セーフティ

話がちょっとずれましたが、士業団体だけで処分ができず行政を介すとなると、炎上発生から処分までのあいだの時間が長くなります。厚労省は別に社労士を監督していることだけが仕事ではないですし、まあ、そもそも役人なので仕事も遅い。

で、あいだの時間が長くなれば今回のPOSSEのように、炎上に油を注ぐ人間も現れ、社会的信用を損なう期間が長くなってしまうわけです。

もちろん、現実的な話をすれば、全国社会保険労務士連合会に懲戒の権限があっても何もできなかった可能性はあります。連合会にしろ、各都道府県の社労士会にしろ、上に立っている人間に高齢な方が多いし、社労士が社労士を処分するとなるとどうしたって身内びいきが出てしまうことも十分ありうるので。

ただ、それでも行政を通さずに社労士が社労士のことを全て決められる方が、意思決定が早くなるという点で望ましいのは間違いありません。

 

連合会や社労士会がすべきだったこと

わたし自身、今回POSSEが厚生労働省に社労士の懲戒請求を行ったことは、そういう発想がそもそもなかったというのもあり、若干意表を突かれたところがありました。

しかし、よくよく考えると、全国社会保険労務士連合会や愛知県社会保険労務士会が真っ先にすべきことを先にやられてしまったという印象です。

社会保険労務士法にこのようにあるわけですし。

(懲戒事由の通知等)
第二十五条の三の二
2  何人も、社会保険労務士について、前二条に規定する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

誰でも懲戒処分の請求ができるなら、全国社会保険労務士連合会や愛知県社会保険労務士会はなおさら、積極的にそうした処分の請求を求めていかなければならなかったのでしょう。

今となっては二番煎じですが、それでも遅くはないと思うのでそうした請求をきちんと「全国社会保険労務士連合会」や「愛知県社会保険労務士会」という名前で出してはどうでしょうか。

残念ながら、あいも変わらず社労士会にも連合会にも何のつてもないわたしですが、地道にこちらのブログを更新することで、わずかならがらでも社労士の品位を保てるように頑張っていこうと思います。

 

何の皮肉か、昨日、愛知県社会保険労務士会から届いた書類にこんな研修のご案内が(笑)

IMG_0435

岐阜はちょっと遠いけど、速攻で応募しましたよー。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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