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行動経済学

有馬記念で馬券を買うのは「大穴バイアス」のいい餌食。年末ジャンボ宝くじ、お前もだ!

年末進行に追われる12月、サラリーマンの方々にすると冬のボーナスの時期ですかね。まあ、わたくし、今までの人生でボーナスもらったことがないので、そういった方々の気持ち正直わかりませんが。

で、その冬のボーナスを狙い撃つように、年末になると、競馬は有馬記念、宝くじは年末ジャンボ宝くじと、ギャンブルの世界では大きなイベントが目白押し。

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"2010 Kokura Kinen" by Flickr user kanagen - http://www.flickr.com/photos/kanegen/4856893846/. Licensed under CC 表示 2.0 via ウィキメディア・コモンズ.
この写真は別に有馬のじゃないです。イメージ映像です。

ただ、還元率で見ると競馬は58.5%(実際の還元率は74.1%だが、当選金に税金がかかるので実質的にはこの数字)、宝くじも45.7 %しかありません。よくギャンブル依存症問題のやり玉にあがるパチンコが85%前後(パチンコVW問題発覚で、実際の還元率はもっと低い可能性大)と言われているので、その回収率はなかなかのもの。

還元率で考えると、1万円使うと平均で、競馬だと4150円、宝くじだと5430円、パチンコだと1500円損する計算になるわけですからね。実際には確率に偏りがでるので、これよりも得する人も出てくるわけですが、損する人の方が断然多い。

それでも競馬や宝くじにお金をかける人がいなくならないのはなぜでしょうか。

 

本命-大穴バイアス

実は行動経済学では「本命-大穴バイアス」と呼ばれるバイアスが競馬の世界で存在することが以前から指摘されています。

本命-大穴バイアスとはなにかといえば、「本命馬券は本来の実力よりも過小評価される一方で、大穴馬券は本来の実力よりも過大に評価する」という人間の偏った見方を言います。

競馬では人気のある馬ほどオッズが高くなるので、例えばオッズ1.7倍くらいの本命馬というのは、本来なら1.2倍とか1.3倍が付くべきであり、一方、オッズが100倍を超えるような万馬券の大穴馬というのは本来なら200倍や300倍が付いてもおかしくないのに本命-大穴バイアスが働くためそうはならないわけです。

 

本当にあった競馬の必勝法

この本命-大穴バイアスを上手く活用したのがデータ分析会社の有限会社ユープロです。

ユープロという会社が目をつけたのは、2004年に導入された3連単という1着から3着までを着番で当てるという馬券で、他の馬券より当てづらい代わりに、高配当が特徴の馬券でした。

ユープロはレースで 3 着までに入らない可能性が高い「はずれ馬」を除外したうえで、それ以外の3連単の組み合わせを億単位で網羅的に購入する(掛け金はオッズが高いほど多く、低いほど少なくかける)というものでした。

結果、2005年から2007年にかけて、年間で10%近い利益をコンスタントに出していたそうです。(スロットでいったら毎回設定6の台に座るようなもの)。

ユープロが行ったのは要は本命とそれに近い馬にかけるということですから、いかに本命馬というものが過小評価されているかがわかります。

本命馬が本来の評価であったなら、オッズはより高くなりここまでの利益は出なかったはずですし、3連単は他の馬券に比べて高配当なため、より強く本命-大穴バイアスが働いていたとも想像できます。

ユープロはその後、脱税の容疑をかけられ、ユープロのイギリス人社長は国外逃亡しました。税金を払っていなかったということなので、ユープロについての実質的な還元率は74.1%と考えるべきですが、それでも「110%-74.1%=35.9%」というのは驚異的でしょう。

 

めったに起きない出来事

人間はめったに起こらない出来事を過大に評価します。

どこかで飛行機が落ちると、自分が乗る飛行機も落ちるのではと不安になります(実際には飛行機が落ちて死ぬ確率は、自動車事故で死ぬ確率よりずっと低い)。昔、福知山線の事故が起きたとき、次にまた起きたらと思い、先頭車両に乗るのを避ける動きが見られましたが、10年経った今もあのような悲惨な事故は起きていない上、先頭車両を避ける人も今ではほとんどいないでしょう。

本命-大穴バイアスというのは、結局、めったに起こらない出来事、すなわち大穴馬が勝つ、という出来事が実際の確率以上に起こりえる、と思ってしまうバイアスなわけです。客観的な確率と主観的な確率の乖離によって起こるわけですね。

厄介なことに、めったに起きない出来事ほど、主観的な確率は上がります。だから、「やや穴」よりも「大穴」の方が人気が出る。

宝くじを買う心理も、パチンコやパチスロを打つ心理もつまる所はこのめったに起きない出来事を過大評価する、ということに尽きるわけです。

 

わたしは宝くじや競馬はしませんが、パチスロはそこそこ(打ちたい台があるときは結構)打つので、本命-大穴バイアスを持ち上げて、だからギャンブルはやめましょう、なんて殊勝なことは言えませんが、負けが続いて冷静さを失ってるなあ、と思ったときはちょっとだけ思い出してみると冷静になれるかもしれません。

 

参考資料:競馬とプロスペクト理論:微小確率の過大評価の実証分析(小幡 績, 太宰 北斗)

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。