マイナンバー

法人ポータルはブラック企業の洗い出しに使われる

2015年12月17日

マイナンバーの交付が開始され、すでに受け取られた方も多いと思います。一方で法人版のマイナンバーである法人番号の交付も行われていて、当事務所は個人なのでありませんが、提携関係にある給与計算本部事務所にも届きました。

ちなみに法人番号は個人のマイナンバーとは違い、公表が原則で、民間の利用も自由とされています。

あの会社の法人番号は何番? と気になる会社がある方はこちらのサイトで検索することができます。

国税庁法人番号公表サイト

 

平成29年から始まる法人ポータル

で、この法人番号を利用した法人ポータル(仮)というサイトの開設が平成29年の1月に予定されています。

法人ポータルでは、行政がそれぞれに保有する各法人の公開可能な情報を集約し、オープンデータ化されることが予定されています。

これによる会社へのメリットは、建築や運送の許認可申請や助成金などの申請が、各種申請に必要な各省庁の証明書なしでネットからできるようになり、手続きが簡単になること

また、法人ポータルには会社外部の人にもメリットが有り、それは、法人ポータルを検索することで、行政が保持する法人情報の集約されたものを会社の外部の人でも簡単に確認できるというもの。この機能、法人情報検索システムと呼ばれるそうですが、この機能を使うとあなたの会社が法的にきちんとしているか、外部の人に簡単に知られてしまいます。

 

法人ポータルから始まる炎上

行政が保持する法人情報とは、例えば、納税情報やその会社が持つ免許や資格などです。ただ、法人ポータルで公開される情報何になるかは法人基本3情報と呼ばれる「法人番号・屋号・所在地」以外はまだはっきりと決まっていません。ていうか、この3情報は上で紹介した国税庁法人番号公表サイトでも確認できる。

ただ、すでに社会保険未加入の建設業者には建設業許可を出さないと国土交通省も言ってますし、雇用保険や労災保険に加入していない事業者は雇用保険の助成金をもらうことができないことなどを考えると、社会保険や労働保険の加入状況というのは法人ポータルから確認することができるようになると考えていいでしょう。

となると、これを使えば、労働者は、どこかの会社に求職しようとする前に法人ポータルを確認することで、その会社が社会保険や雇用保険に入っているかということがわかります。当然、社会保険や雇用保険に入ってない会社は避けられるはずです。

あるいは、ネットとの親和性を考えるとこんなことも起こるかもしれません。

テレビや雑誌等に取り上げられたお店や会社を(業種はなんでもいいですが)、それを見た誰かが法人ポータルを使用して社会保険や労働保険の加入状況調べる、なんてことも起こりうるかもしれません。もしこれで入ってなかったら、

 テレビや雑誌で取り上げられた人気スイーツのお店(あくまで例)

 →法人ポータルを見たら、社会保険にも労働保険にも加入してない

 →従業員を保険に入れないブラック企業とネットで話題に

 →炎上

というような事が起こりうるわけです。

 

会社の情報がネットですぐにわかる時代

もちろん、法人ポータルを見る人は労働者や一般人だけではありません。取引先の人だって見るでしょう。

そして、そうした取引先の中には社会保険や労働保険にきちんと加入していない会社とは取引しない、という会社も少なく無いと思われます。大企業は特にそうですし、平成29年以降、建設業では、社会保険に加入していない業者を下請けで使用した場合、元請けの面今日が停止されるようになるので、大手ゼネコンは間違いなく見る。

最近では、国税庁と厚労省が情報を共有しだしたこともあり、今まで社会保険に加入していなかった法人への社会保険への加入の案内が次々に届いていますが、それとは関係なく、社会保険や労働保険に加入しないと社会的に信頼されない時代がひたひたとやってきているわけです。

いつもいつもいつもいつも、厚労省への文句ばかり書いているわたしですが、法律を破っていいとか、労働保険に入らなくていいとか、社員を鬱にしろと書いたことは一度もありません。社会保険も同じです。まだ入ってない会社の経営者のみなさん、きちんと社会保険に加入しましょう。でないと、会社の信用に関わりますよ!

以下、経団連のマイナンバー制度開始説明会より。

法人ポータル

法人情報の活用

参照: 内閣官房社会保障改革担当室審議官 向井治紀  内閣官房社会保障改革担当室 提出資料

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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