IT

ネット上のモノ・サービス全ての売買をamazonを介して行う時代

2015年12月14日

amazon-logo_JP_black
amazon

amazonでお坊さんを呼ぶことができる、ということは社労士を呼ぶこともできるよな、ということを先日書きました。

お坊さん同様、就業規則や社労士もamazonで買う時代が来るのか

前回の記事では、自分が社労士ということで社労士を絡めて書きましたが、それだと「amazonがサービスを売る」ことの衝撃が伝わりづらかった気がするので、もう少し一般的な話として再構成して書こうと思います。

上の記事よりこちらの記事を先に読んだほうがわかりやすいと思います。

 

amazonはSEOに強い

ネットでモノを売る、サービスを売るという面で考えると、実はamazonの強みというのはそのシェアの巨大さからくるSEOの強さと、馴染みある決済システムの2つにつきます。

SEOで言うと、Google検索で商品名を入れて検索すると、高確率で「その商品の公式ホームページ」「Wikipediaのページ」「amazonの商品ページ」が3点セットで出てきます。例のお坊さん便も、「お坊さん便」で検索すると、検索結果の1ページ目にすでにamazonの商品ページが入ってきています。

ちなみに「お坊さん 法事」や「戒名授与」など商品名そのものズバリでなくても、2ページ目までには登場します。

これを踏まえると自社サイトのSEOが大して強くない会社からすると、下手に自社サイトに誘導することを考えるよりも、amazonで商品を出したほうが人々の目に止まりやすい可能性があるわけです。(お坊さん便自体のサイトは、元々SEOに強いようで、関連キーワードで検索すると、amazonの商品ページより常に上位で表示されるのであれですが)

これは大きなメリットですよね。なにせ、つらい思いして毎日サイトを更新しなくても(笑)、海の物とも山の物ともつかないSEO業者に頼まなくても、簡単にSEO対策できてしまうわけですから。しかも、クリック1つで、会社が一番見てほしい商品ページに飛んでくれるのだから。

 

誰もが馴染みある決済システム

ネットでモノを買ったことのある人で、amazonでモノを買ったことがない人、という方はおそらくいないでしょう。それくらいネット通販の世界でのamazonの存在は絶大なわけです。

その結果、ネットでモノを買う人、というのはほぼ間違いなくamazonでの決済方法というものを経験したことがあります。

逆に、Google検索だと、法事や水回り、PCのトラブルの業者を探したりするときというのは、とりあえず、目についたサイトに入ってみて、サービスの確認だったり料金の確認だったり、料金の支払方法をいちいちいちいち調べないといけません。

結構面倒だし、修理系のサービスって、料金だけ大々的に出して工賃を別でこっそり書いてたりするので気が抜けない。

でも、amazonだと、そうした手間がないわけです。サービスの確認はさすがに業者のサイトを見るかもしれませんが、料金についてはみんなおなじみの決済システムでお金を払えるので手間がない。

しかも、自社サイトでサービスをやっていると、いくらクレジットカード払いができるとしたとしても、このサイトに登録しても良いのかな、という消費者側の疑念を消せないと、なかなかクレジットカード払いしてもらえませんが、amazonだとクレジットカード登録している人も多いので、クレジットカード払いのハードルも下がるのも大きい。

 

この2つの強みに着目するサービス業者が増えると、amazonでサービスを売るという業者が増え、amazonでサービスを買う、ということが当たり前となる時代が来るかもしれないというわけ。モノだけでなくサービスまでもamazonで買う時代が来るわけです。

しかし、本当にそうなるには当然、まだまだハードルがあります。

 

ハードル1:amazonでサービスを買うことへの抵抗

一番のハードルは、まだまだ、amazonでサービスを買うという意識が人々の間にないということ。意識がないので、amazonでサービスを探そうとしない。

それでも、業者が増え、SEOの結果や今回のお坊さん便のニュース等によりamazonではサービスも売っているんだ、ということが人々の意識の中に浸透したとしても、今度はamazonでサービスを買うという経験をほとんどの人がしたことがない、というのがハードルになります。

みなさんもamazonで初めて買い物した時や、ヤフオクで初めて商品を落札した時を思い出してみてください。ドキドキだったんじゃないですか? でも、今はそうでもないでしょう? 1回でも経験がある、というのと1回も経験がない、というのでは人間の意識には大きな違いが出るのです。

 

ハードル2:amazonレビュー

現在のamazonレビューはステマし放題のやらせし放題で、自社の商品を持ち上げて、同業他社の商品をネガキャンするなんて日常茶飯事。

前項の、amazonでサービスを買う気持ちのハードルを下げるには口コミというのは非常に大きな力を発揮するはずなのですが、こうしたレビューが跋扈する限りは、みなレビューを信用できず、結果、サービスを買おうとしなくなる可能性が高い。

なので、今のままではamazonレビューはデメリット。

しかし、実はこうしたやらせレビューを排除できれば、amazonレビューは最大のメリットにもなりうる。

良いも悪いもステマ抜き、利用者のみの適切なレビューしかなければ、そのサービスを使ったことのない人も、そのサービスの適切な質を評価できるわけですからね。そうなれば、悪質な業者は誰も使わなくなるわけです。

これはUberやAirebnbが、利用者の評判そのものを商品の質の担保に使っているのと同じ構造です。

amazonレビューが浄化されるメリットはもう一つあって、Google検索で個別の業者のサイトを訪れると、当然、サイトにはそのサービスにとって良いことしか書いてありません。これはこれで、そのサービスが良いのか悪いのかわからない。でも、レビューがきちんと浄化されたamazonだと、レビューからそのサービスの客観的評価を知ることができるので、消費者も優良なサービスを選びやすい。

海外ではステマレビュアーらを一斉に訴えるなど、レビューの浄化に取り組み始めたamazonなのでここは期待したいところ。

 

ハードル3:そもそもお坊さん便以外参入しない可能性

今回や前回の記事では、今後様々なサービスがamazonに参入してくる前提で書いてますが、全く参入してこない可能性はあります。そうなったらamazon時代というのはわたしの妄想の産物で終わります(笑)。

特に、今のレビュー形式だと、きちんとサービスを行っていても風評被害が起こりうるので、実はお坊さん便に続くところがないなんてこともありうるし、浄化されたらされたで、悪徳業者は逆に避けるでしょう(それはそれでいんだけど)。

まあ、わたしはamazonの回し者でもなければ預言者でもないので、amazon時代がこなくてもそれはそれで良いんですが。

 

以上です。

なんか最後、逃げみたいなこと書いてしまいましたが、実は、amazonでサービスを売るということには、amazonでモノを売るのとは決定的な違いがあって、それはamazonが競合相手にならない点なんですね。

例えば、「新品のモノ」だとマーケットプレイスでいくら値段を下げても、結局amazonがその値段まで下げてくる、ということがあり、結局儲けにならなかったりする。

でも、今のところは、amazon自身がモノではない人を派遣するようなサービスを売ろうとはしていない。これは結構大きい気がしますね。他の強豪は別にして、少なくともamazon本体と価格競争する必要はないわけですから。

 

いずれにせよ、社労士としてサービスの提供側としての自分はとりあえず脇に置いて言うと、amazonがサービス売買の仲介者としてその範囲を広げると、ネットに地殻変動のような大きな変化が起きることは間違いありません。

名古屋のブロガー社労士の日記TOPへ戻る

良かったらシェアお願いします!

  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

-IT