解雇

Q8 諭旨解雇って懲戒解雇や普通解雇とどう違うのですか

2015年10月15日

A8 諭旨解雇は懲戒処分の一種で、懲戒処分よりも軽い処分とされていますが、法律上の定めはありません

普通解雇以上、懲戒解雇未満

諭旨解雇とは「会社の行う退職勧奨に従い退職届を提出するのなら退職金等を支払うがそうでない場合は懲戒解雇する」ものです。

砕いていうなら「懲戒解雇が嫌なら退職勧奨に従いなさい」という懲戒処分の一種です。

 

諭旨解雇は会社によって定義が異なる

ただし、この諭旨解雇、法律上の定めが一切ないため、個々の会社の就業規則の定めにより定義は様々となります。

最も一般的なのは懲戒解雇にする代わりに自己都合退職とする、というものです。ただし、必ずしも通常の自己都合退職と同じ扱いになるかというと、これも会社の就業規則次第で、退職金を減額して支払う事も多いです。

なぜ懲戒すべき相手を、自己都合退職とするかというと、懲戒解雇には労使双方にデメリットがあるからです。

まず、労働者にとっては懲戒解雇された、となれば経歴に傷がつくことになります。転職時にたとえ本人が隠していても、転職先の前職調査でバレる可能性もあります。

一方、会社からすると、懲戒解雇を行うと労働者から不当解雇の訴えを起こされる可能性が出てきます。もちろん、正当な理由があるから会社は懲戒解雇を行うわけですが、裁判になった場合にその主張が認められるとは限りません。

むしろ、ほとんど認められないからこそ、そのあたりの事情をよく知っている大手企業などは滅多に懲戒解雇を行わないわけです。

また、会社都合の解雇を行うと会社は雇用保険の助成金をもらえなくなるため、たとえ労働者に責のある解雇だとしても、そうしたリスクをできるだけ避けるためにできるだけ解雇をしたくない、と、助成金をもらっている会社は考えます。

懲戒解雇の代わりに普通解雇する、という形の諭旨解雇もありますが、助成金との絡みを考えると、はっきり言ってあまり意味のある規定とはいえません。

 

解雇についてのQ&A

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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