A7 過去に支払う必要があるという通達が行政から出ていますが、支払う必要はないという学説もあり、意見が割れているのが現状です
通達の立場
内定とは、始期付解約権留保付労働契約すなわち「勤務開始時期を明示し、企業にそれを取り消す権利を保留させる労働契約」と、法律および判例では解釈されています。
労働契約ということは解雇予告手当を支払う必要がある、というのが行政の立場です。
学説の立場
しかし、労働基準法では「試用期間14日以内の解雇」の場合、解雇予告手当を支払う必要ないともされています。
企業によっては内定後、試用期間を経た後に正式採用という流れの会社も少なくありません。
そうなると行政の通達のとおりにすると、実際に労働を開始していない内定期間に内定が取り消された場合は解雇予告を支払う必要があるのに、実際に勤務が開始されてからの14日間に解雇された場合、解雇予告を支払う必要がないというアンバランスな状況が生まれてしまうので、支払う必要はないのでは、という学説も存在しているのです。
通達および学説は、どちらも裁判所の司法判断ではないので、どちらが優先されるかは実際に裁判にならないとわからないのが現状です。どちらにしても内定を出した以上、それを取り消すような真似はできるかぎり避けるべきなのは確かです。