A3 整理解雇の場合は支払う必要があります。普通解雇・懲戒解雇の場合は就業規則と解雇理由によります
整理解雇
整理解雇の場合、労働者本人に責任がなく会社の都合により辞めてもらうわけです。
にも関わらず、退職金まで不支給となっては労働者からしたら踏んだり蹴ったりというわけで、退職金を支払う必要があります。
例え、就業規則にそう定めても裁判になった場合に会社の主張が認められることはないでしょう。
懲戒解雇・労働者の契約不履行による普通解雇
懲戒解雇の場合、まず大前提として、就業規則に「懲戒解雇の場合、退職金を不支給とする」といった内容の記載が必要です。
一方で、これが実際に裁判になった場合に認められるかといえば、これは懲戒理由によります(当然、解雇は正当であることが大前提)。
というのも、退職金というのは入社から退社までのあいだの労働者の会社へ貢献に対して支払われるものと考えられています(勤続に対する功労報奨説)。
貢献に対して支払われるということは、それを不支給とするには、入社から退社までの貢献を全て台無しにするほどの酷い懲戒理由でなければならないということです。
ちなみに、過去の判例では痴漢行為を理由に解雇された労働者に対して裁判所は、懲戒解雇の有効性は認めたものの本来の退職金の額の3割を支払うよう会社に命じています(小田急電鉄事件)。
労働者の労働契約の不履行による普通解雇の場合も同様ですが、懲戒解雇でも全額不支給とすることは難しいので、普通解雇で不支給とすること、あるいは一部不支給とすることですらかなり難しいと考えられます。