A2 普通解雇は使用者に認められている解雇権によって行われる解雇であり、懲戒解雇とは労働者に対する懲罰の一種です
普通解雇
労働者に退職する事由が認められているように、会社(使用者)には民法上、所定の手続きを踏めば労働者を解雇する自由が認められています。
この権利に基づき行われる解雇が普通解雇で、労働者側の契約の不履行(懲戒等の場合を除く)を理由とするものや、会社の経営悪化を理由とするものなどがこれにあたります。
労働者側の契約の不履行とは、勤怠不良や体調不良等で労務提供がきちんとできない場合などをいいます。
また、よく耳にする会社都合の解雇や整理解雇も、広義にはこの普通解雇となります。
ただし、この民法の規定はもともと使用者と労働者が対等であることを前提にしています。しかし、労使間では、実際には会社のほうが立場が強いことがほとんどということもあり、労働法および裁判所の判例で使用者の権限は年を経るごとに制限され、今に至っています。
普通解雇を行う場合、「解雇予告」という手続きを行う必要があります。
懲戒解雇
一方の懲戒解雇は就業規則違反など、会社の秩序を乱したり会社に不利益を与えたものに対して行う懲戒処分であり、当然のことながら懲戒処分の中では最も重いものとなります。
普通解雇と違い、懲戒解雇に関しては、労働基準監督署の除外認定を受ければ「解雇予告」しなくても済みます。
また、懲戒解雇に関しては、多くの会社で退職金を支払わないと就業規則に定めている事が多く、こうした退職金の有無も普通解雇と懲戒解雇の違いといえます(ただし、退職金の支払いは法律上義務付けられているわけではないので、会社によって異なります)。
普通解雇と懲戒解雇で共通する点
どちらも解雇には違いはありません。
なので、どちらも労働基準法19条の「解雇制限」の期間中にある労働者を解雇することはできませんし、使用者の解雇権の濫用とみなされれば解雇は無効とされてしまいます。
また、普通解雇と懲戒解雇は明確に区分できるものでもなく、例えば、勤怠不良や勤務中の怠慢行為(いわゆるサボり)は普通解雇事由であると同時に懲戒解雇事由となり、どちらを選択するかは会社の判断となります。