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マイナンバー

マイナンバーで詐欺が起こる理由はIPO(新規公開株)などのバブルと同じ

マイナンバーの番号だけで個人情報を引き出すことができないことは過去にわたしも書きましたし、こちらの記事でも言及されています。

【保存版】マイナンバーはどれくらい危険なのか? 11の疑問を“中の人”が徹底解説

なので、集めたところで犯罪組織が保持する名簿の整理くらいにしか使えないと思われるわけですが、それでもマイナンバーに絡んだ詐欺が全国各地で相次いでいる。なぜでしょうか。

 

需要・供給曲線で考える

まず第一には需要と供給の問題です。みなさんも中学の公民で習いましたよね、需要・供給曲線。

Supply Demand.png
"Supply Demand". Licensed under GFDL via Wikipedia.

で、マイナンバーは国民全員に配布される一方で、漏洩に対する厳しい罰則や、みだりに第三者に提供してはいけないという国民の意識が強いため、一般に出回る数、すなわち供給が極めて少ない。特に本格運用前の2015年現在はそうです。

一方、詐欺組織や犯罪組織はそれらをほしいと思っています。手に入れて直接犯罪に使うにせよ、他の組織には流すにせよ、手に入れれば金になると考えている。そのため、マイナンバーへの悪意ある需要は高まっている。

この需要と供給のアンバランスさにより、マイナンバーの価値は高まっているわけです。上の表で言えば、限りなく左側にあるわけですが、より重要な問題は詐欺組織や犯罪組織が考えるような価値が本当にマイナンバーにあるのかどうかです。

 

実態を無視するIPOバブル

例えば、公開されている株式というのは株式市場上で、その企業の価値によって値段が上下しますが、常にその企業の正しい価値を示しているとは限りません。ときに不当に高くなったり低くなることもあります。

そのわかり易い例が、新しく株式市場に上場する会社が発行する株式、IPO(新規公開株)で、このIPOが発行されると、公開価格が初値を上回るという「IPOバブル」というものが起こります。要はIPOは株式公開初日に必ず値上がりする(暴騰する)、ということです。

しかし、この暴騰にも近い値上がりは必ずしもその企業の正しい価値を示しているわけではなく、IPOだから価値がある(値上がりする)と思っている人たちの行うマネーゲームの結果に過ぎません。

当然、そうしたマネーゲームが終われば株価は落ち着くし、マネーゲームと関係なく企業の真の価値が市場で知られ始めると株価は殆どの場合下がります。過大評価された株式が元の値に戻るだけと言えばそれまでですが、言い換えれば、IPOによる株価上昇というのはその会社の実態を表していることはほとんどない、実態のないバブルなわけです。

グノシー

IPOバブルの例として今年上場したGunosyのチャート。

初週で大幅に値上げしたあとはその後どんどん価格を下げているのがわかります。(画像はヤフーファイナンスから勝手にお借りしてきたものです。一応、画像をクリックするとヤフーファイナンスに飛ぶようにしてありますが、問題あったら言ってください)

 

マイナンバーの価値はバブル

今、マイナンバーで起きていることもこうしたIPOバブルに近いのでは、というのがわたしの考えです。

世間で話題になり、マスコミが騒ぎ、詐欺師がそれを狙う、というようにマイナンバーへの関心が高まれば高まるほど、わたしたちのような普通の市民のあいだだけでなく、詐欺師や犯罪者たちのあいだでもマイナンバーに対する心理的な価値は高まります。

マイナンバーに価値があると思う人がいるから、マイナンバーには価値があり、それを欲しがる人がいる、というのが世の中のメカニズムなわけです。先ほど例に上げた株式も同じですね。その株を欲しがる人がいるから、その株の値段は上がる。逆に欲しがる人がいなければそれはただ紙切れ。

よって、こうした心理的な価値が高いうちは、マイナンバーはおそらく詐欺などの犯罪の対象となるでしょう。価値が高いものには犯罪を犯してでも手に入れる価値がある、手に入れたい、と思う人が必ず出てくるからです。

とはいえ、いくら心理的な価値が高まっても、実態としてのマイナンバーにはほとんど価値がありません。マイナンバーだけで他人になりすますこともできなければ、行政から情報を騙し取ることもできない。

しかし、そうした情報は全くと言っていいほど世間では流通しておらず、結果、なんとなく価値がある、何となくヤバイもの、といったイメージだけでマイナンバーに対する価値が高まり、結果それを集めたがる人が後を絶たないのでしょう。

 

いずれにせよ、現在のマイナンバーへの世間一般の評価はかなり過大評価であり、実際の価値とは乖離があるとわたしは考えます。実際の価値より、心理的な価値が高いというのはつまり、それはバブルということです。

よって、バブルなのでいつかは弾けるだろう、とわたしは思っています。特に来年以降の本格運用により実際にマイナンバーを使用する機会が増えれば、自ずとマイナンバーへの特別意識は消えていくのではないでしょうか。

本来なら、マスメディアがマイナンバーを煽りに使わずに正確な情報を流すことに徹していれば、ここまで詐欺が横行することもなかった気がしますがね。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。