Q10 就業規則では1週間前までに請求するようにと定めているのに、突然、明日有給がほしいと言ってきたのものがいるのですが・・・
A10 労働者による時季指定権の濫用に当たる可能性があり、その場合、必ずしも有給を与える必要はありません
労働者が有給を取得するのは、どのような目的で取得しても自由であるとされており、どの労働日に取得するかについての決定権も、時季指定権として労働者に認められています。
つまり、労働者が有給を取得する権利も時季指定権も、法律上の権利であり、法律上の権利ということは、民法第一条に記されているように、その権利の濫用は許されません。
民法第一条(基本原則)
私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
権利の濫用は、これを許さない。
よって、親族に急な不幸があった場合などのように、労働者側に正当な理由がある場合ならともかく、そうではない、単に恋人とデートに行きたいなどの理由で、就業規則上の定めに違反して有給を請求するのは、労働者の権利の濫用といえるでしょう。
ちなみに、ライトウェーブコンサルティングほか事件では、退職時の引き継ぎのないまま有給消化で退職しようとした労働者に対して、会社が時季変更権を行使したことについて、適法であったと判断しており、「労働者が請求すればいつでも好きなときに有給が取れる」という、よくある有給に関する勘違いを司法が否定しています。
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