年次有給休暇

Q5 有給時の賃金について教えてください

2015年10月14日

A5 有給1日につき、平均賃金、もしくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う必要があります

有給の際の賃金の支払方は労働基準法で、以下の3つのいずれかによって支払う必要があります。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険法で定められている標準報酬日額(要労使協定)

 

平均賃金

平均賃金は、過去3ヶ月間の賃金総額を、過去3ヶ月間の総日数で割ることによって算定します。

ただし、平均賃金の算定の際、以下の場合は「総日数」と「賃金総額」の両方から控除する必要があります。

① 業務上の負傷、療養のための休業期間
② 産前産後の女性が、産前産後の休業を取得した期間
③ 使用者の責に帰すべき事由による休業期間
④ 育児休業または介護休業をした期間
⑤ 試用期間

また、以下のものは賃金総額から控除する必要があります。

① 臨時に支払われた賃金
② 賞与等、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
③ 法令や労使協約の定められた物以外の実物給与

 

所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金とは、所定労働時間が8時間の場合は8時間労働した場合に支払われる賃金のことです。

つまり、時給制の場合は所定労働時間に時給額をかけたものですし、日給月給の場合、1日欠勤した場合に欠勤控除される賃金額がそれに当たります。

平均賃金との違いは、平均賃金には、時間外手当やその他諸手当を含んで算定をする一方、所定労働時間が支払われる通常の賃金では、それらを含まない、ということです。

ただし、平均賃金の算定では、過去3ヶ月間の全出勤日数ではなく総歴日数で賃金総額を割るため、どちらの方が金額高くなるかは会社や労働者の働き方によって変わってきます。

 

健康保険法で定められている標準報酬日額

労使協定を締結することで、健康保険法で定められている標準報酬日額で、有給分の賃金を支払うことも可能です。

標準報酬日額とは標準報酬月額を30で割ったものを言います。

 

平均賃金は有給の取得のタイミングで金額が変わることや、標準報酬日額は労使協定の締結が必要なことから、有給の際の賃金は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金で支払われるのが一般的です。

 

有給休暇についてのQ&A

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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