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名古屋の若手社労士はこんな法令アプリがほしい、と書こうと思ったらもう持っていたという話

2015年11月28日

社労士といえど法律家、法律の条文を読むのも仕事の一部ではあります。厚労省のパンフなんかで知識の仕入れを済ませてしまうと、それが法的根拠に基づくものなのか単なる行政通達なのかわからないからです(厚労省のパンフは割とその辺確信犯でごちゃまぜにしてる)。

でも、法律の条文を読むっていうのは、これがなかなかどうして、何と言いますか、箸が進まない。はっきり言って読みにくいし。読みにくいから疲れるし。

で、わたしが読みにくいと感じる最大の理由は法律の条文に()が多いこと。しかも()の中身が長いし、()の中に()入れたりするし。算数では()の中に()入れる時って、外側に{}とか[]を使うって習ったんだけど、法律の条文はそんなルールお構いなし。おかげで()の始まりと終わりがどこにあるかがわかりづらくてしょうがない。

また、条文の番号が進めば進むほど、「◯条△項のものついては除外する」みたいな感じで、番号の若い条文の項目を引っ張ってくるようになる。◯条△項の内容を覚えてればいいけど、忘れてる場合は戻って見直さないといけないわけです。見直すのはしょうがないですよ、三歩歩いたら忘れてるニワトリ頭のわたしが悪いんですから。でも、前の条文に戻って、またさっきまで読んでた条文に戻るってのは結構面倒というか、地味に時間をとられるわけです。

(なんか書いてて不安になってきたけど、わたし以外の社労士の先生や他の士業の先生は、法律の条文なんてスラスラ読めるからこんな悩みないとかだったらどうしよう)

 

テキストエディタの威力

ここ最近、WordPressにサイトを変えたので、ほんの甘噛程度ですがPHPやCSSについても勉強したりしています。

で、そうしたプログラム言語(CSSはプログラム言語とは言わないらしいけど)をコーディングする際にはそれ用のテキストエディタを使ったほうがいいということも学びました。

プログラムについては初心者のブービー賞みたいなわたしなので、こういったツールの真の凄さがわかるわけでもないのですが、ただ、こうしたツール使うと言語の要素によって自動で色分けされるというのが非常にありがたい。

例えば、PHP言語だと

<?php get_header(); ?>

<?php get_header(); ?>

みたいな感じになるわけ。これだけだと実感しづらいかもしれませんが、記号とアルファベットだらけのコードって、色がつくだけで実はすごく見やすくなるんですよ、これが。

 

法律の条文を読みやすくアレンジ

で、法律の条文もそういうふうにしたら読みやすいんでないかと思って、とりあえずe-govのサイトからめぼしい法律で試してみた。元にしたのは労災法の第十四条。

第十四条  休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第八条の二第二項第二号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)の百分の六十に相当する額とする。

見ての通り、ただし書き以降は()の文章が本体と言っていいくらい。で、とりあえずWordの置換を使って()の色を変えて、太字にしてみると、

第十四条  (略)ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額第八条の二第二項第二号に定める額以下この項において「最高限度額」という。を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額の百分の六十に相当する額とする。

おっ、劇的に見やすくなったわけじゃないけど、悪くない。ならばと手動で()内の文字色や()内の()も変えてみると

第十四条  (略)ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額第八条の二第二項第二号に定める額以下この項において「最高限度額」という。を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額の百分の六十に相当する額とする。

おおっ!これは読みやすい。赤字はちょっと目がチカチカするので再考の余地ありだけど、とりあえず黒字の部分を読んだ後に、赤字青字と読んでいけば文意も掴みやすい。

ただ、問題は法律の条文を読むたびにこれをやるのはちょっと面倒だってこと。e-govから法律の条文をコピーしてWordに貼り付けて、置換で()の色を変えるまでは簡単だけど、カッコ内の色を手作業で変えるのは面倒というか、それやってるうちに読み終わる。というか法律が改正されたらまたやり直しだしね。

 

わたしはこんな法令アプリがほしい、と思ったら…

だから、そういうアプリを誰か作ってくれませんか、という記事を書こうと思ってここまで書いてみたのですが、ふと気になって自分が使ってる法令アプリを調べると、なんと上記のような機能が入っていて、それがまさに今わかるという大失態(()内の()までは対応してないけど)。落としたはいいけど使ってないのがバレバレや。

だったら、記事自体をボツにしろよという話ですが、本当に、この記事を2000字くらい書いた後に気づいたのですわ。流石にもう引き返せない。

というわけでわたしが使ってる法令アプリはこちらです。

法令ブラウザ書き込み六法アプリ

条文をDLするのが面倒であまり使わず、ついPCからの検索でe-govの法令を見てしまいがちでしたが、今後はこちらをヘビーユーズしていこうと思います。あと、条文の背景はセピア地もいいけど白地も選択させて!

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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