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労働契約 時事問題

イケハヤ師も日テレも、業務委託で雇うや解雇なんて言うとバカだと思われるぞ

えー、一昨日ですか、ヤフトピにこんな記事が出てました。

原発事故で海外避難した元NHKフランス人スタッフ、契約解除無効の判決

ヤフトピは時間が経つとリンク期限切れになるのでリンク先は、記事のソース元である弁護士ドットコム。

業務委託で翻訳やアナウンサー業務を行っていたフランス人女性が、福島の事故が起こったので避難目的で祖国に帰国したところNHKに契約解除された、というのが事件のあらまし。

で、契約解除無効の理由としては、事前に原告は代役を立てた上でNHKに了承を得ていたことと、他にいた6人のフランス人スタッフも同様に避難したが、彼らは委託解除されず原告だけが委託解除されたから。

NHKがどうゆつもりでこんな扱いしたのかわかりません。立てた代役の方が優秀だったとか、原告の委託料が高かったからとか、勝手な想像はできるけどね。いずれにせよ、NHKが負けて当然の訴訟かと思います。

 

委託契約なのに解雇無効?

で、この事件について深く掘り下げたいのは、事件そのものではなく、その日のヤフトピを切り取った下の画像。

ヤフトピ

ん、ん、ん?

解雇、無効?

いやいや、原告とNHKのあいだに結ばれていたの委託契約ですよ。

解雇とは労働契約(雇用契約)の解除であり、通常、委託契約の解除に用いる言葉ではありません。

デジタル大辞泉でも以下のとおり。

[名](スル)使用者側から雇用契約を解除すること。首にすること。「不況で従業員を解雇する」「解雇手当」

よって、委託契約に解雇なんて言葉を使うのは誤用で、誤解の元。

百歩譲って、ヤフトピのあの狭い枠内に「委託解除無効」が入らなくて「解雇無効」にしたなら、まあいいでしょう。

でも、日テレ、おまえはダメだ。

原発事故避難の仏女性をNHK解雇「無効」

 

炎上ブロガーも勘違い

こうした労働契約と委託契約に関する勘違いというのは、世の中には割りとあるみたいで、炎上プロブロガーで有名なイケハヤ師も以下の記事で、「まぁ、雇うといっても業務委託ベースではありますが」とか書いちゃってますし。

年商2,000万円稼げるようになって、考え方が変わりました。

まあ、彼の場合、炎上で売ってるので、こうやって頭の足りない部分をひけらかすのも炎上につながっていいのかもしれませんが。でも、日テレ、おまえはダメだ(2回目)。

 

労務管理上の致命的なミスに繋がる可能性も

別に労働契約の解除を解雇と呼ぼうが、委託契約の解除を解雇と呼ぼうがどっちでもいいじゃんと思う人もいるでしょう。また、日本語では「コーディネーターを雇う」などと、実際に労働契約にない場合も「雇う」という言葉を使うこともあるので、混同されても仕方ない面はあるかもしれません。

しかし、労務管理上ではダメです。

まず、業務委託は業務の外注なので、委託相手を社会保険や雇用保険に入れる必要はありません。一方、労働契約となるとそうした保険に入れる必要が出てくるので、両者では人を使う上でのコストが変わってきます。また、委託契約と比較して、労働契約の解除は圧倒的に難しい点にも注意しないといけません。

今回のフランス人女性とNHKの件でも、原告は「実質的な労働契約関係があった」とも主張しており、この件では却下されたものの、これが認められていたら、NHKとしては雇う気のない労働者を雇うという意味でより大きな損害を受けることになったでしょう。

テレビの現場のことについてそれほど詳しい訳ではありませんが、局内にも同様の業務を行う者がいる労働者を外注に出した場合、それを扱う管理者はどうしても自社の社員のように指揮命令しがちです。その結果、外注と自社の労働者の境目がなくなった現場で、「実質的な労働契約関係があった」という訴えがあったら、今回とは逆の結果がでていたかもしれません。

 

イケハヤ師や日テレが間違う分にはあいつバカだなで終わりですが、望まぬ雇用を避けるためにも、少なくとも会社や人事・労務担当者は決して委託契約と労働契約を混同してはいけない、外注先に混同させるような取り扱いや言葉遣いも避けるべきでしょう。

みなさんも気をつけましょう。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。